この記事の連載

 冬はパウダースノーを求めて国内外のスキーヤーやスノーボーダーで賑わい、春・夏・秋も、雲海の絶景や北海道のならではの美食が多くのツーリストを引き付ける「星野リゾート リゾナーレトマム」。

 前篇では、広大なファームエリアを活かしたアクティビティや、北海道の短い秋を味わい尽くすディナーをご紹介します。


トマムの原風景とおいしい農産物が旅を豊かに彩る

 農業から生まれる美しい景観は、旅する人に癒しを与え、そこで生産される農産物は旅を豊かにする――そうした考えから生まれたのが、星野リゾートの農業プロジェクト「ファーム星野」です。

 「リゾナーレトマム」を含む「星野リゾート トマム」のあるエリアは、リゾート開発される以前は約700頭の牛が飼われ、農業が営まれていたのだとか。「ファーム星野」では、このエリアを当時の美しい原風景に戻していく計画が進行中です。

 2017年にゴルフ場だった約100ヘクタールの敷地を「ファームエリア」と名付け、土壌調査の後、開墾。牧草を植え、牛や羊、山羊、馬の放牧をスタートしました。2018年には、乳用牛のホルスタイン5頭の飼育を開始し、そのミルクからノンホモジナイズ・低温殺菌製法の「トマム牛乳」を生産。牛の数は、現在では約30頭になっています。

 ファームエリアで開催されるアクティビティ「モーモー学校」では、牛の個体によって味が異なる「トマム牛乳」の飲み比べを楽しんだり、牛の世話をしているガイドとともに、“牛追い”を体験したり。牛の大きさや息遣い、地を踏む音を間近に感じながら、牛の個性や習性、牛乳の生産などを学ぶことができます。

 牛の糞尿が肥料となり、牧草が育ち、それを食べた牛たちがおいしい牛乳を出す。リゾートに滞在し、牛乳や乳製品を食べることで、人間も自然の循環の一部だと感じられる。そんな気付きも、ファームの魅力です。(「モーモー学校」は、2023年10月31日までの土・日・月曜開催)

2023.10.11(水)
文=伊藤由起
撮影=志水 隆