この記事の連載

 90歳を迎えても主演映画『九十歳。何がめでたい』が公開されるなど、女優として活躍する草笛光子さん。とっておきの健康法や自然体の着こなし術、スターたちとの交遊録、女優人生70年の歩み、老い行く日々に思うことを綴った『きれいに生きましょうね 90歳のお茶飲み話』より「お肉が大好き」をご紹介します。(全3回の2回目/#1#3を読む


食べることは大好き

 仕事を続けられるように、体力維持のためのトレーニングは欠かせません。ストレッチ、バランスボール、スクワット、加圧トレーニング……。身体と心を整えています。

 今回は、食事の話をしましょう。

 私は味にうるさくありませんが、食べることは大好きです。コテコテしたフランス料理などより、シンプルな家庭の味がいいですね。美味しいお味噌汁と温かいご飯、浅漬けのお新香をパリパリ、なんていうのが好き。で、二日か三日に一遍は、お肉が欲しい。

 お肉とお魚だったら、断然お肉です。中でも好きなのは牛肉で、ステーキだと“よく焼き”で百五十グラムくらいいけます。豚肉なら、ヒレカツやスペアリブ、酢豚も好きです。ほかにはハンバーグ、鶏の唐揚げ、エビフライ。フライドポテトも大好き。焼き芋は、散歩に出た帰り道についスーパーで買ってしまいます。

 高齢女性の好みじゃないと言われますね。成年男性、というより少年男子に近いと。

 大嫌いなのはウナギです。味ではなく、姿かたちがダメ。同じ理由で穴子やドジョウもイヤ。タコが苦手なのも、元の形を連想するせいでしょうか。

 我が家にはお手伝いさんが三人いて、交代で来てもらっています。幸せなのは、三人揃って料理がお上手なこと。わざわざ外のお店へ食べに行こうという気になりません。高級料理店には申し訳ないけれど、ウチで食べるほうが美味しいからです。

 メニューが重ならないように、申し送りもしてくれます。たとえば六月のある週は、こんな献立でした。

2024.09.20(金)
文=草笛光子
写真=文藝春秋