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通いたい日本最古級の映画館「高田世界館」

 日本最古級の映画館として愛されている「高田世界館」は、旧市街地のメインストリートにあります。1911年に芝居小屋「高田座」として開業したのがはじまり。世界的な映画ブームの到来により1916年に「世界館」と改称して映画館となり、その後100年以上にわたって営業を続けています。

 歴史的変遷や中越沖地震と、取り壊しや存続の危機を乗り越え、市民や映画ファンによる保存活動がはじまり、2009年からはNPO法人「街なか映画館再生委員会」が運営しています。映画ファンだけでなく、明治の擬洋風建築を体感できる貴重な建築物として、遠方から訪れる建築ファンも多いそう。

 足を踏み入れた瞬間からタイムトリップしたような空間に心が躍ります。チケット売り場から古代ギリシア建築のような意匠の柱や壁、モルタル塗りの階段、木製の手すり、劇場の扉の取っ手に掘られた「ひく」の文字、そして昔懐かしいインベーダーゲーム…。1950年代製の映写機が並ぶ映写室も見学でき、どこもかしこもフォトジェニックでノスタルジック。

 新作も名作も応援上映もあり。高田で生まれ、横浜国立大学で映画評論を学び、Uターンしたという支配人の上野迪音さんによる上映プログラムの充実ぶりにもぐっときます。遠くからでも通いたくなる「高田世界館」。どっぷり映画の世界に浸ったら、近くのカフェで休憩して帰路へ。

高田世界館

所在地 新潟県上越市本町6-4-21
電話番号 025-520-7626
定休日 火曜
http://takadasekaikan.com

2024.08.05(月)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=釜谷洋史