創業から400年。飴一筋の「髙橋孫左衛門商店」
「小竹製菓」から数分歩くと、寛永元年(1624年)創業の老舗飴店「髙橋孫左衛門商店」に到着。北国街道沿いである現在地で江戸時代から400年近く続く飴一筋のお店です。
『東海道中膝栗毛』で知られる十返舎一九や夏目漱石も来訪したことでも知られています。「翁飴」は、高田城城主が江戸へ参勤交代する際の土産に重宝されていたという歴史ある看板商品。水飴を寒天で固めたあとに乾燥し、熟成させることでもっちりとした食感を出しているそう。あっさりとした甘さ、素朴な味わいがクセになります。
水飴の原料はもち米。もともと雑穀の粟でつくっていたものを4代目孫左衛門がもち米に変え、日本ではじめて淡黄色透明の水飴をつくり出しました。これに麦芽を加え糖化させたものが「粟飴」です。砂糖を使わず、さらりとした上品な甘みが特徴です。
明治天皇が北陸巡幸の際に「粟飴」を気に入り、自ら買い求めて皇后や皇太后へ贈られたのがはじまりで、皇族になじみ深い飴菓子となりました。昭和天皇が最期の病床で「越後の水飴」をご所望されたエピソードでも有名です。
そのまま食べてもおいしい「粟飴」ですが、お湯に溶いてあめ湯にしたり、紅茶などの飲み物へ砂糖代わりに加えたり、料理の隠し味としても楽しめます。地元の給食では、バターと粟飴を混ぜて食パンに塗って焼く「粟飴トースト」が出されるそう。
400年の歴史を誇る、日本で最も古い飴屋さん。その分、エピソードも多く、博物館クラスの内容なのが興味深いところ。趣のある建物は国の登録有形文化財に指定されています。味や製法とともに「孫左衛門」の名も受け継がれ、現在は14代目。脈々と伝統を継承しながらも、多種多様な飴菓子が陳列され、新商品にも挑戦し続けています。
髙橋孫左衛門商店
所在地 新潟県上越市南本町3-7-2
電話番号 025-524-1188
営業時間 8:30頃~18:30頃
定休日 水曜(祝日、お盆、元日を除く年末年始は営業)
https://www.etigo-ameya.co.jp
歴史や文化が漂う城下町高田。レトロな町並みには個性豊かな町家や伝統的な建築物である「雁木(がんぎ)」が現存しています。豪雪地帯に欠かせない雁木は、積雪時でも快適に歩けるよう、家屋から張り出した軒やひさしなどを道路側に延長したもの。まるで映画のセットのような雁木通りをぶらりぶらりと楽しみしながら、次なる目的地「高田世界館」へ。
2024.08.05(月)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=釜谷洋史