秘境の海岸に咲き誇る、山吹色の花
「花の島」といわれる佐渡島。南北両系の植物境界線とされる北緯38度線が島の中央を通り、暖流である対馬海流がおだやかな気候をもたらすこの島では春から秋にかけて、さまざまな花が島を彩ります。
なかでもおすすめが早春から6月にかけての季節。トビシマカンゾウと岩ユリという佐渡の代表的な2つの花が見ごろを迎えます。雄大な自然をバックに、健気に咲き誇る花々はまさに絶景。しっかりグルメスポットを巡りながら、のんびりと路線バスに乗って花を巡る旅へ。
» 外海府海岸のシンボル、トビシマカンゾウの群生地「大野亀」へ
» 見晴らし抜群の「大野亀ロッジ」でひと休み
» 大自然が創り出した「亀」を眺めながら二ツ亀を散策
» 海越しに夕日と朝日を望む「SADO二ツ亀ビューホテル」
» 佐渡の玄関口を担うカフェでほっこりと「maSanicoffee」
» 地元の人気店「夕食堂」でランチタイム
» 佐渡の季節の味をしっぽりと「日本料理 なかむら」
» 建築好きもたまらない宿泊体験「ryokan浦島」
» 花の名所を訪ね、岩ユリの群生地「藻浦崎公園」へ
» 「路線バスで巡る、佐渡島の花々を愛でる旅」2泊3日モデルプラン
【DAY.1】
のどかな海岸線をバスに揺られてしなしなと
佐渡島をのんびり巡るなら、地元の人と一緒に路線バスに揺られる旅もおすすめです。新潟交通佐渡が運行する島内のバス路線は12路線。乗り降り自由の1日券から、2日間、3日間乗り放題になるパスもあるので、路線図や時刻表を確認しつつ、上手に選んで島旅を満喫しましょう。
外海府海岸のシンボル、トビシマカンゾウの群生地「大野亀」へ
目指すは佐渡の秘境、初夏の訪れを告げるトビシマカンゾウの花が見ごろを迎えている大野亀。両津港のバス停から二ツ亀・大野亀方面行きの「内海府線」に乗車します。
内海府線は、両津から佐渡の東海岸沿いを島の最北端まで走る路線バス。風光明媚な県道「佐渡一周線」をひたすら北上していくので、車窓からはどこまでも続く日本海とゴツゴツとした岩壁の風景が広がります。海を眺めたり、うとうとまどろんだり、アップダウンのある道を揺られながらバスならではの移動をのんびりと。
「大野亀」のバス停で降りると、日本海に向かって突き出している亀型の巨岩が目の前に現れます。数千万年前の火山活動によってできた大野亀です。『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で2つ星(寄り道する価値がある)として掲載されている景勝地で、5月下旬から6月上旬には、50万株100万本ものトビシマカンゾウが一面に咲き誇る花の名所でもあります。大正時代は牛の放牧地だったそうで、牛がこの花だけを食べなかったため群落が残ったといいます。
今年は蕾をつけたころに強風で半数ほど茎から折れてしまったそうですが、それでも雨の中、山吹色の花を艶やかに咲かせていました。トビシマカンゾウは、大野亀や七浦海岸のほか、外海府海岸や真野海岸、沢崎灯台周辺などでも出合うことができ、目を楽しませてくれます。
大野亀
所在地 新潟県佐渡市願
電話番号 0259-27-5000(佐渡観光交流機構 佐渡観光情報案内所)
※トビシマカンゾウの見頃は5月下旬~6月上旬ごろ
※2024年4月1日から、土・日・祝日の「内海府線」は、前日の17時までに事前予約が必要となりました。詳しくは新潟交通佐渡のホームページをご確認ください。
2024.06.23(日)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=釜谷洋史