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あざといけど子どもっぽさもある魅力的なヒロイン・澪

――アフレコ収録では、最終回だけ全員の声優陣がそろって、それ以外は坂本さんだけ別に収録したそうですね。

坂本 本当は一緒にアフレコ収録をした方がよいのですが、今回はどうしてもスケジュールが合わなくて。私は皆さんが録った音声を聞きながら演じたんです。どういう演技をしているか分かる状態で演じたので、すごく演じやすかったですね。澪はかわいくてフレッシュだけど、どこか妖艶な印象もある難しい役。皆さんの演技で、引き出していただきました。

 それに正直、「1人でよかったな」とも思うときもあったんです。ドラマや舞台であれば、衣装を着て、姿かたちから役に入れますけど、アフレコって蛍光灯の下でいつもの自分のままマイクの前に立つし、役から離れて現実に引き戻されるのが早いんです。澪はセリフがすごくかわいくて、主人公の陽をドキドキさせる場面が多いから、現実に戻る時間が個人的にすごく恥ずかしくて。

 今では、私と別収録だったからこそ、共演者の皆さんもかわいい澪から現実に引き戻されずに済んだんじゃないか、とさえ思います(笑)。

――「あざとい澪」で印象的だったシーンはありますか?

坂本 いっぱいあるんですけど、セリフは普通なのに映像では陽の手を握っていたり、陽のファーストキスを奪った翌日に気まずい雰囲気で茶化したりするシーンは印象的でしたね。「なんで手を握るんだろう。普通に言えばいいのに」とか「自分のことを好きなのかわからない女の子に大事なファーストキスを奪われるのは、私だったら嫌だな」と思っていました。

 でも澪は、ぐいぐいと迫るのにいやらしすぎない。あざといけど子どもっぽい悪ふざけの延長線にも思える、その塩梅が魅力的なキャラクターなんですよね。

2024.07.24(水)
文=ゆきどっぐ
撮影=釜谷洋史
ヘア&メイク=MIZUHO(ビタミンズ)
スタイリスト=岩渕真希