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 中国の動画共有サービス「bilibili」で6000万回再生された中国制作アニメ『下の階には澪がいる』の日本語吹き替え版の放送が、フジテレビの深夜アニメ枠「B8station」で2024年7月3日(水)から始まりました。原作は韓国で人気のwebtoon『イドゥナ』。物語は、初恋の相手を追って大学に入学した主人公・杉浦陽が、同じ下宿先の1階に暮らす元アイドル・如月澪と出会うことから始まります。

 ヒロインの澪役を演じる声優の坂本真綾さんに、作品に出演したきっかけやアフレコ収録で思い入れのあるシーンについてお話を伺いました。


同じ年齢くらいの役だと思ったら…

――アニメ『下の階には澪がいる』の澪役が決まった経緯を教えてください。

坂本 「澪には坂本さんがピッタリだから、ぜひ」と関係者の方が挙げてくださって、お声かけいただきました。アニメ声優のお仕事はキャリアにかかわらずオーディションで決まることが多いので、こういう決まり方は珍しいんです。

 当初、私が聞いたあらすじは、「大学に通う主人公の男の子が、元アイドルの女性と出会う」という物語の導入部分でした。私は40代だから、てっきりヒロインの女性も同じくらいの年齢で、大学でまなび直しをする話だと思ったんです(笑)。それで息子といってもおかしくないほど歳の離れた男性に、淡い恋心を抱くのかなって。

――「元アイドル」だと、20代後半か、30代以降の女性を想像してもおかしくないですものね。

坂本 そうなんです。それで、「ぜひやります」とお答えしたんですけど、台本をもらったら20代前半の青春真っ只中の役で、びっくりしました。

 でも、収録を重ねるうちに、「澪という1人の人間性を描きたくて、お声掛けいただいたのかな」と感じるようになったんです。というのも、澪って、一見するとかなりあざといキャラクターなんですよね。同じ女性から見ても、「なんでこういう行動を取るんだろう」と不思議に思うくらい。あまりにも猪突猛進なフレッシュさでぐいぐいと押している感じが出すぎると、「あざとくて、お腹いっぱい」という感想が生まれていたかもしれません。そういう意味で、キャラクターと年齢の離れた私にお声掛けいただいたのかなと感じています。

2024.07.24(水)
文=ゆきどっぐ
撮影=釜谷洋史
ヘア&メイク=MIZUHO(ビタミンズ)
スタイリスト=岩渕真希