世界のスイーツも食べられます

 職人気質のリチーさん。スイーツにもこだわっています。

 「アップルパイ」は、最適な品種・王林がある時だけ作るのだそう。バターが香る、薄く多層になっているパイ生地が、リンゴの酸味を引き立てます。

 珍しいのが、オーストラリア・クイーンズランド発祥の「ラミントン」と、アメリカ発祥の「ウーピーパイ」。

 「ラミントン」は、スポンジ生地をチョコでコーティングして、ココナッツをまぶしたお菓子。手でつまんで食べられる手軽さで、こちらでも人気だそう。

 「ウーピーパイ」は、しっとり柔らかな生地で自家製マシュマロをサンドした、食べやすい、まさに、おやつ。

 バナナにキャラメリゼの風味がプラスされた「バナナブレッド」もおいしいし、「お店の一番人気のスイーツです」とリチーさんが自慢する「チョコレートブラウニー」も、コク深い大人向けの味わい。一度で虜になってしまいます。

 他にも「メレンゲ」などのスイーツも作り、おやつ需要にも対応。食事パイとお菓子、両方買って帰りたくなります。

 そして、最近の人気は「フォカッチャ・バレーゼ」だとリサさん。イタリア・プーリアの州都バーリのフォカッチャで、生地に強力粉を使ったモチモチ感がポイント。オリーブオイルをたっぷり使っているのだそう。フォカッチャでも、他にはないバレーゼにこだわっているのです。

 「お店では、午後からフィリングの仕込みをして、翌朝6時半からパイ生地を作り、それぞれ包んで焼き上げます」とリチーさん。「ブリティッシュポークパイ」の他は、全て、その日に焼いた、焼きたてのパイ。

 そして、リチーさんは、手作りであること、保存料や着色料などの添加物不使用にこだわるだけでなく、使用する調味料にも工夫をこらしています。

 既製のスペイン産のスモークパプリカパウダーを用いるだけでなく、スモークソルト(塩)、スモーク醤油、塩レモンなどを自ら手作りし、さらには、スモークパウダー(ヒッコリースモーク)を固形にして保存し使用するなど、独自の調味料を作って熱心に味を創作しています。

 そんなリチーさんオリジナルの味をお店で楽しめるのが、毎週金・土曜の、17時からの立ち飲みバル営業。パイはもちろん、リチーさんが腕をふるうタパスメニューが5、6種類用意されることもあって、足繁く通う常連客も多いそう。南アフリカのリンゴのサイダーやアマルーラというリキュール、原産地のルイボスティーも発見。いろいろな初めての味に感動です。

 「僕のルーツは母方のオランダと父方のスコットランド。母方の祖母はお料理上手でした。ヨーロッパの伝統的なパイを日本の人に食べてもらいたい。でも、日本人の口に合う味にするのではつまらない。日本で見かけないパイをどうしたら広められるかにチャレンジしています。パイには、自分のアイディアで味を自由にできる面白さがあるから。僕が作ったパイを全国の方に食べていただきたくて、オンラインショップでのお取り寄せも始めました」とリチーさんはにっこり。

 パイの魅力に夢中になりそうです。

グランピーキッチン

所在地 兵庫県神戸市東灘区魚崎中町4-6-14 
電話番号 078-453-0170
営業時間 11:00~19:00 金・土曜の立ち飲みバルは17:00〜21:00 ※変動あり
定休日 日・月曜
Instagram @grumpykitchen105

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2024.07.14(日)
文・撮影=そおだよおこ