台湾茶の茶師が作り出す唯一無二のフレグランス
台湾茶や台湾スパイスなどを用いた香水で知られる「P.Seven茶香水」。2012年の創業以来、台湾のデザイナーやアーティストを魅了しているほか、海外でも注目を集めてきました。現在は航空会社やウイスキーブランドなど、さまざまな企業やブランドともコラボしています。

2024年3月末には永康街にコンセプトストアをオープン。ここでは商品の販売だけでなく、さまざまな展示会やイベントを開催しています。心地よいBGMが流れ、まるでギャラリーのような空間に癒やされます。

ブランド創業者である潘雨晴さんは、台湾茶の茶師(ティーマスター)だった人物。台湾茶を飲むときには香りを嗅ぐ「聞香杯」を用いますが、「この残り香を香水にしたい」と思ったのが始まりだったとのこと。第一号の作品である「台湾茗香水」は台湾茶を代表する「金萱茶」が用いられており、ほのかな甘さに心が落ち着くはずです。

また、「台湾の文化を香りで広めたい」という思いもあり、台湾原住民族や客家系住民の暮らしからインスピレーションを得たという香水も開発。たとえば、日本人旅行者にも人気が高い「泛靈 Animism」は原住民族が多く暮らす台湾東部の森や海をイメージし、人々に親しまれている檳榔(ビンロウ)や月桃などの植物を用いています。

さらに2022年に登場した「奉茶」シリーズは、烏龍茶の香りをベースにした「沁香」、東方美人茶の香りをベースにした「玉香」、老茶(長い歳月寝かせた熟成烏龍茶)の香りをベースにした「暗香」の3種類があります。単純にお茶の香りを表現しているだけでなく、花やハーブも加え、深みのある香りとなっています。

そして、コロナ禍の中で開発されたのがピロースプレーです。海外との往来が途絶えてしまった期間、「夢の中で台湾を旅してもらいたい」というアイデアから生まれた商品です。旅行者に人気の観光地「大稻埕」や「淡水」「墾丁」「陽明山」「阿里山」「日月潭」、さらに潘さんの故郷である台湾東部の米どころ「富里」の香りがあります。

「P.Seven茶香水」の商品は、主張しすぎないナチュラルな香りが魅力。嗅ぐとその土地の情景や茶の味わいが脳内に蘇ってきます。これは潘さんが脚本家の仕事をしていた経験があり、イメージ作りを得意としているからなのかもしれません。香水やピロースプレーを通して台湾の香りを身近に感じてみましょう。
なお、2024年10月31日(木)から11月7日(木)まで表参道ヒルズ内のギャラリー同潤会で、「江戸紫氣味展」が開催されます。これは日本初店舗が東京・日本橋の「誠品生活」にあり、江戸時代の文化に強く惹かれたことがきっかけとなっています。
そのほか、日本各地の百貨店でポップアップを展開中なので、オフィシャルサイトやSNSなどでチェックしてみてください。日本語版もあります。
2024.07.12(金)
文・撮影=片倉真理