ボロ泣きした曲との出会いを通じ、音楽の道を目指す

――後に自身でもカヴァーされることになる、ザ・ベイビースターズの楽曲「去りゆく君へ」との出会いの時期でもありますよね?

 友達からそのCDを借りたんです。恋愛の歌なんですけど、そのときの夢も目標もない自分に重ね合わせたとき、東京の街に佇んでいる自分と、夢に向かっている地元の友達や、頑張っているジュノンボーイ出身の友達を思い出して「俺は何をやっているんだ? このままじゃダメだ」と思いました。歌を聴いてボロ泣きするのは初めてだったんですが、他人にそんな気持ちにさせられる音楽というものを、自分でもやってみたいという目標ができたんです。

――とはいえ、それまでに音楽活動はされてなかったですよね?

 歌うことが好きなぐらいでした。でもちょうど、当時、音楽業界にいた今のマネージャーと出会って。楽器は弾けた方がいいだろうと思って、ギターも買って、練習を始めました。ほかにもバンドのローディ(裏方)やったり、タワーレコードの搬入搬出のバイトやったり、とにかく音楽に携わることを無我夢中でやっていました。やりたいことが明確になったことは大きかった。CDを出したい、ライブをやりたいと夢が膨らみ、そのためにはお客さんを集めなきゃならない。より多くの方に知ってもらうには、役者としての活動をしていこうと。そんなとき「ミュージカル テニスの王子様(以下、テニミュ)」のオーディションの話が来たんです。それまで人前で踊ったこともなかったけれど、いい度胸試しになるし、なにより原作が好きだったので……。

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2014.03.07(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹
スタイリング=立山功