うちの子ベストショット①「ちょっと眠すぎ」

――触るのは怖いけど、犬は好きだったんですね。

 散歩してる動画とかを観るのがめちゃめちゃ好きで。相方(鈴木もぐら)は遅刻が多いんですけど、到着を待ってる間ってすごくイライラするんですよ。

 そういう時、YouTubeで赤ちゃんか犬の動画を観て心を安らげるっていうのをよくやってたので、いつか犬を飼ってみたいとはずっと思ってました。だから、そら豆とも近づきたくて。

――だから、パペットを挟んで触ったりと自ら歩み寄って克服されたんですね。

 そうです。会ってひと月くらいでこういう生き物なんだっていうのがなんとなく掴めて。で、散歩に連れて出たり、体を洗ったりしていくうちに、向こうもちょっとずつ慣れてきました。

 犬って自分の中で序列があるみたいなことを聞くじゃないですか。奥さんを自分のボスだと思ってるんだなっていうのは見ててわかるんですけど、僕は雰囲気的にめちゃくちゃ下の地位からのスタートだったというか。

 散歩していて、僕がこっちに行きたいなと思ってても譲らないし、ご飯をあげる時にお手、おかわり、伏せ、見てっていうのをやるんですけど、その時もずっと「ウゥゥゥゥ~!」って(唸ってて)。僕にやらされるのが不満だったみたいで、いつもブチ切れてました(笑)。

 けど、3年一緒に暮らして、その関係もなんとなく変わってきてる気がします。もしかしたら今は僕を弟とか子供とかだと思っているのかもしれない。映画を観て泣いたりしてると、大丈夫か? っていう感じで近くまで来て顔を舐めたりしてくれるんですよ。

――いい関係ですね。元々、犬が好きだったそうですけど、一緒に暮らすようになってさらに愛情が増したのではないですか。

 今は犬のために働いてるみたいな感覚っていうか。辛い仕事があっても、帰ったら犬いるしなって思ってます。

 飼う前は犬を家族だと言ってる人の感覚があんまりピンと来ないなと思ってたんですけど、一緒に生活する生き物として家族だという感覚が理解できるようにもなりました。

 今日、ここに来る前、ドトールで作業してたんですけど、“このあと犬の取材かぁ”とか思いながらそら豆のことを考えてたら、死んだ時のことまで考えちゃってめっちゃ泣いてしまいました。

――え、ドトールで!?

 はい。ちょくちょくあるんですよね、犬のことを考えてて最後に死ぬところを想像して悲しすぎて泣くって。1クールに1回くらいの頻度であります。今日もそこまで想像してだいぶ落ち込みました……(と俯く)。

2024.02.29(木)
文=高本亜紀
撮影=杉山秀樹
写真=水川かたまり