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確かな存在感、味わいを感じる活版印刷

 文字を拾い終えたら、名刺サイズに設定した型枠に文字を配置します。ただ文字を置けばいいというわけではなく、字間のスペースやバランスなどを考えてきれいに配置する必要があります。

「文字サイズや書体が異なったり、漢字とアルファベットが混在したりすると、余白や字間が微妙に異なってきます。それを上手に調整するのも僕たちの腕の見せどころです」(佐々木さん)

「ものすごく繊細な作業なんですね。ミリ単位でさまざまな形の金属板を埋め込んで、微調整を繰り返していく。今私たちはプリンターで意識せずやっていますが、印刷物ってこんなに緻密な作業が積み重なって出来ているんですね。まさに“職人”ですね」(影山さん)

「なんだか、確かな存在感があるというか、味わいを感じますね。インクの濃淡のニュアンスもそうですし、活字の凹凸があるおかげで1枚1枚しっかりと作られたものという感じがします。『私の名刺』と思える愛おしさがありますね」(影山さん)

2024.01.19(金)
文=CREA編集部
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=佐藤友梨(エムズアップ)
スタイリスト=加藤なお(ALCATROCK)