古着店やヴィンテージショップが立ち並ぶ高円寺の中心地に、オープンして間もないのにも関わらず国内外から多くのファンが足繁く通う店がある。民藝やアート、ヴィンテージファッションを取り揃える「Mogi Folk Art」だ。
その人気の理由を探るべく、元fennicaの名物ディレクターとして知られるオーナーの北村恵子さんとテリーエリスさんに話を伺った。
あらゆるモノがごった返す魅惑の街「店の候補地は、高円寺一択でした」
――ビームス時代より、長らくロンドンを拠点に活動していたと思います。なぜ高円寺でお店を営むことになったのでしょうか?
北村さん 4年ほど前から私は母の介護のために日本に拠点を移していて、コレクションの時期だけヨーロッパをまわっていました。エリスはロンドンに住んでいてたまに日本に来ていましたが、コロナの感染拡大に伴うイギリスのロックダウンにより帰れなくなり、しばらく日本に住むことになりました。どこに部屋を借りようかとなった時、候補に挙がったのが高円寺です。
エリスさん もともと高円寺の街が大好きで、20年以上通い続けていました。だからすぐ隣りの阿佐ヶ谷や西荻窪でもダメで、どうしても高円寺がよかった(笑)。結局2年半ほどイギリスには戻れず、高円寺に住み続けることになりました。
北村さん そうこうしているうちに定年退職を迎える時期になり、私たちはモノが好きで色々と収集していたので、この機会に皆さんに見てもらえたらいいね、と自分たちの店を持つことを考えました。
――エリスさんの高円寺に対する並々ならぬ愛を感じます。高円寺のどこに惹かれたのでしょう?
エリスさん 若い人からお年寄りまで色んな人がたくさんいて活気に溢れています。また私たちはロンドンのブリクストンと言う下町に住んでいましたが、そこと雰囲気が似ていて落ち着くんです。
北村さん 賑やかで人が多いのに意外と大きいチェーン店が少なくて、さまざまな種類の小さな個店が元気に頑張っている。その雑多にミックスされた感じも魅力ですよね。モノ好きやヴィンテージ好きな人も多く訪れるということもあり、店を開く場所もまた高円寺一択でしたね。
2023.01.21(土)
文=平野美紀子
撮影=釜谷洋史