「いろんなテイストをMIXして楽しんで」本当にいいと思うモノだけ並べた趣味の店
――内装も素敵です。こだわった部分はありますか?
北村さん fennica時代の同僚が働いている葉山の設計事務所に内装を依頼しました。高円寺は若い人たちが自分たちの出来る範囲で営業しているお店が多いので、あまりキラキラさせたくなくて。お洒落すぎず、誰でも入りやすい親しみやすい店を意識しました。
エリスさん たとえばロンドンの自宅をイメージした市松模様のタイルもあれば、鳥取の和紙を貼り合わせた壁もある。什器に関してもデンマークの希少なヴィンテージシェルフを置く一方で、無印良品のBOX棚を重ねたりと、いろんな国やテイストのものをミックスすることで居心地のいい空間になっていると思います。
北村さん そもそも彼のバックボーン自体が、ジャマイカ生まれのロンドン育ち、仕事は東京と色んな要素が混ぜ合わさっている。一つのテイストに縛られず、色んなものをミックスすることは世界が広がってとても面白いことだと思います。高円寺の街のように、私たちの店でも雑多なものをミックスして取り入れる面白さを感じてもらえると思っています。
――店をスタートして、fennica時代から変わった部分はありますか?
北村さん 以前はやはりお客さまにとって手の届きやすい価格などを意識する必要がありましたが、ここでは本当に自分たちがいいと思ったものは価格にあまりとらわれずに並べています。売れなかったら自分たちの責任で済みますからね。
――たしかに見たことのないアイテムが所狭しと並んでいます。
北村さん 販売しているのは、私たちがずっと集めていた一点ものや希少なものもたくさんあります。あと置いてるものはすべて商品なので、気に入ったら店の什器も買っていただけます。私たち自身、何十年も“これは売り物じゃないんです”って断られ続けてきた経験があるので(笑)、店にあるものすべてに値段をつけています。これは自分の店だからできることですね。
エリスさん たとえば什器で使っている李朝の箪笥は200万円もしますが、既に韓国では輸出されていないクラスの貴重なもの。以前と違い、シーズン毎に商品やディスプレイを変える必要がないので、高いものでも長いスパンで好きな人が見つけてくれたらいいと思っています。
2023.01.21(土)
文=平野美紀子
撮影=釜谷洋史