カルヴァドス協会日本支社が主催する「カルヴァドス・ディナー」が、12月1日(金)に芝浦にある「中国飯店 倶楽湾 Kurawan」で開催された。

 ディナー会は年に3回、都内のレストランで開かれており、そのなかでも年末のクリスマスパーティーは通常の定例会とは一味違う。今回は会場に5名の音楽家が登場し、生演奏や生歌を次々と披露。租界時代の上海を彷彿とされる優雅な店内で、カルヴァドスの名門メーカー「クリスチャン・ドルーアン」のカルヴァドスとヌーベルシノワのペアリングが提供された。

 そして何と言ってもパーティーに特別感を与えてくれたのが、年末の定例会には毎回参加しているという、同ブランドの会長クリスチャン・ドルーアン氏の存在だろう。約70名のゲストたちがクリスチャン氏と共にカルヴァドスを囲み、会場は華やかな雰囲気に包まれた。

欧州No.1スピリッツと評されるクリスチャン・ドルーアン社のカルヴァドス

会場ではクリスチャン・ドルーアン社の各種カルヴァドスが、ストレートやジンジャー割、トニック割、カクテルなどで提供された。
会場ではクリスチャン・ドルーアン社の各種カルヴァドスが、ストレートやジンジャー割、トニック割、カクテルなどで提供された。

 カルヴァドス・ディナーは、カルヴァドス協会日本支社の会員やゲストたちが一緒に、カルヴァドスや食事を楽しむために開催されているイベントだ。カルヴァドス協会は1986年にフランスで結成され、日本支部が発足したのは1997年。現在、世界12箇所にある支部のなかでも日本は特に盛り上がりを見せている国のひとつなのである。

 そもそもカルヴァドスとはリンゴを原料としたブランデーで、フランス3大蒸留酒の一つ。ハイアルコールながら口当たりがよくフルーティーな味わいで、ストレートはもちろんのことカクテルにしたり料理やお菓子作りに使ったりとさまざまな楽しみ方ができるお酒だ。

 原料となるリンゴはフランスのノルマンディー地方で生産されたものが使用される。なかでもリンゴの最優良生産地とされるのがペイ・ドージュ地区のフィエヌ・サンタンヌ。クリスチャン・ドルーアン社はこの地に農園を持ち、リンゴ作りからブレンディングまで一貫して自社で行う家族経営の老舗メーカーである。

 創業以来約60年間、伝統製法を守り続け、出来上がったカルヴァドスは最高級品ともいわれる逸品。フランス国内のみならず世界中で高く評価されており、世界で最も歴史と権威ある酒類コンペティション「IWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)でトロフィー(最高位)の受賞経験を誇る。

クリスチャン・ドルーアン社のカルヴァドスは、さまざまなコンペティションで300以上の受賞歴を持っている。
クリスチャン・ドルーアン社のカルヴァドスは、さまざまなコンペティションで300以上の受賞歴を持っている。

華やかな演出の中でディナー会がスタート!

カウンターに用意された各種カルヴァドス。ウェルカムドリンクとしてだけではなく、食事中も自由に堪能できる。
カウンターに用意された各種カルヴァドス。ウェルカムドリンクとしてだけではなく、食事中も自由に堪能できる。

 会場に入るとカウンターに用意されていたのは、6種類のカルヴァドス。ストレートやジンジェーエール割りなどが並ぶ中でひときわ目を引くのが、カルヴァドス協会日本大使のフィリップ・ソーゼット氏が考案したカクテル「Jack Rose Cocktail」だ。最初の1杯目はフィリップ氏が自らカクテルを振り、参加者たちに振る舞うといった一場面も。

フィリップ氏が考案した「Jack Rose Cocktail」。華やかなパーティーにぴったりな鮮やかな色合いで、カシスや柑橘のフルーティーな味わいがアペリティフにぴったり。撮影=CREA編集部
フィリップ氏が考案した「Jack Rose Cocktail」。華やかなパーティーにぴったりな鮮やかな色合いで、カシスや柑橘のフルーティーな味わいがアペリティフにぴったり。撮影=CREA編集部
カルヴァドス協会の日本大使、フィリップ・ソーゼット氏。
カルヴァドス協会の日本大使、フィリップ・ソーゼット氏。

 参加者たちはグラスを手に歓談しながら開演を待つ。それにしても、ドレスコードのゴールドで身を包んだ参加者たちの煌びやかさと言ったら……。ドレスに着物、チャイナ服など、まるでファッションショーに来たかのよう。

 開始時間になると、ソプラノ歌手・小川里美さんとピアニスト・森田花央里さんのリサイタルがスタート。「コロナ禍で暗かった時期をようやく越え、来年はさらに盛り上がりますように」そんな思いが込められた美しいピアノの音色とダイナミックな歌声が会場を包み込む。

 リサイタルのあとには、カルヴァドス・ディナーの恒例イベントの一つ、カルヴァドス協会の新規入会者を歓迎するセレモニーも。今回は10名の新会員の儀式が和やかに執り行われ、乾杯の挨拶とともに食事が開始された。

ソプラノ歌手・小川里美さんとピアニスト・森田花央里さんのリサイタルに参加者全員がうっとり。
ソプラノ歌手・小川里美さんとピアニスト・森田花央里さんのリサイタルに参加者全員がうっとり。

 倶楽湾はヌーベルシノワの名店であるが、ヌーベルシノワとは中華料理をフランス料理のように一皿ずつ提供する香港発祥の中華料理のスタイルのこと。店内では伝統的な中華料理7種類とカルヴァドスのペアリングが用意され、高級食材を使った贅沢な料理の数々と芳醇なお酒の絶妙なハーモニーに参加者たちは舌鼓を打つ。

 ちなみに、クリスチャン・ドルーアン社ではカルヴァドスだけでなく、リンゴを使ったジンも造っている。このジンはクリスチャン氏の息子でありクリスチャン・ドルーアン社の3代目社長ギヨーム・ドルーアンが開発したもので、今回は前菜と一緒に登場した。

 前菜は、カルヴァドスに漬けた車海老や香辛料の効いた叉焼など6種類の料理の盛り合わせだ。30種類のリンゴと8つのアロマをブレンドしたジンはスパイスの風味豊かな料理とよく合う。

前菜6種盛り合わせ。
前菜6種盛り合わせ。

 前菜の車海老のほかにも、豚バラの角煮や炒飯などのメニューにもカルヴァドスが使われている。料理とのペアリングのみならず、カルヴァドスは料理酒としても中華料理との相性がいい。

豚バラ肉の角煮 ノルマンディー風。
豚バラ肉の角煮 ノルマンディー風。
たまり醤油と松の実の炒飯カルヴァドスのゼリー添え。
たまり醤油と松の実の炒飯カルヴァドスのゼリー添え。

 食事の合間にもピアノの演奏やジャズライブなどが繰り広げられ、舌も心も幸福感でいっぱいに。カルヴァドスのテーマソング「Le Trou Normand」をみんなで歌うことで胃の消化を促す儀式なども行われ、会場には楽しそうな笑い声が終始あふれていた。

ピアニストの安倍葉子さん。
ピアニストの安倍葉子さん。
左:ジャズシンガーのマルタン絵美さん、右:シャンソン歌手のトリック・ヌジェさん。
左:ジャズシンガーのマルタン絵美さん、右:シャンソン歌手のトリック・ヌジェさん。

クリスチャン・ドルーアン社のカルヴァドスをもっと楽しもう!

 クリスチャン・ドルーアン社では種類豊富なカルヴァドスを造っている。クリスチャン氏にそれぞれのカルヴァドスに合った飲み方や相性のよい料理を伺ったみたところ、リンゴの香りが華やかなシードル・ブリュットはクリームソースを使った料理やノルマンディー産カマンベールが合うとのこと。

 ブランシュドノルマンディーはリンゴのアロマがしっかりとしているため、ストレートだけでなくロックやカクテルで楽しむのにもよいそうだ。また、ポモードノルマンディーはどの国でも女性に人気があり、冷たくして飲んだりバニラアイスにかけて食べたりするのもおすすめとのことである。

クリスチャン・ドルーアン社会長のクリスチャン・ドルーアン氏。撮影=CREA編集部
クリスチャン・ドルーアン社会長のクリスチャン・ドルーアン氏。撮影=CREA編集部

 カルヴァドスについてもっと詳しく知りたいという方は、クリスチャン氏の著書「CALVADOS BOOK」をぜひ読んでみて。本書にはカルヴァドスの歴史や魅力がわかりやすく解説されているだけではなく、カルヴァドスを使った料理のレシピや62種類のカクテルレシピなどが掲載され、活用度満点の一冊となっている。

 なにかと人と集まることが多い年末年始。おもてなしメニューとしてレシピを試してみたり、みんなでカルヴァドスを味わったりして、楽しい時間を満喫しよう。

CALVADOS BOOK(カルヴァドスブック)、定価3,300円(本体3,000円)。
CALVADOS BOOK(カルヴァドスブック)、定価3,300円(本体3,000円)。

カルヴァドスの魅力が満載の一冊

世界的に高い評価を受けているカルヴァドスメーカー、クリスチャン・ドルーアン社の会長クリスチャン・ドルーアン氏による、日本語での初めてのカルヴァドス本。ノルマンディーが誇るスピリッツ、カルヴァドスの伝統的な味わい方や料理のレシピ、62種類のカクテルレシピが紹介された、カルヴァドスの魅力を網羅した一冊だ。

»「CALVADOS BOOK」の詳細はこちら(Amazonへリンク)

 

倶楽湾 Kurawan

所在地 東京都港区芝浦 3-11-4
電話番号 03-5444-7788
https://www.chuugokuhanten.com/store/kurawan.html


カルヴァドス協会
https://www.facebook.com/ConfrerieCalvados

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2023.12.29(金)
写真=Video creator SHIN
文=CREA編集部