夜行性動物に出会えるナイトウォークも楽しい
そんなピール地域の環境保護を訴える、ユニークで楽しい活動があります。「マンジュラの巨人」と題されたこのプロジェクトは、リサイクルをテーマに作品を制作する世界的アーティスト、トーマス・ダンボの屋外展示企画。
海岸の突堤で海を眺める巨人、森の中で腰を下ろしている巨人など、マンジュラの各地に展示されている作品はそれぞれに個性的。どの作品も廃材を利用したもので、まさにゴミからお宝です。
しかも自然に溶け込んだ作品を、ただ鑑賞するだけではありません。地図や案内板、QRコードをたよりに巨人を探す道すがら、その土地の動植物や環境についての知識が得られるのです。
ちなみに、マーリー保護区の場合、駐車場から作品までの往復の距離は約3.6キロ。アート鑑賞というより、ちょっとしたハイキング⁉ 自然の中でカラダを動かす気持ち良さは、この豊かな環境について考えるきっかけにも。
自然に興味が湧いたなら、おすすめしたいのが、ソルト&ブッシュ・エコツアーのナイトウォーク。環境学者と植物学者が共同で作ったこのツアーは、ネイチャーガイドと一緒に希少な動植物の宝庫であるピール地域の湿地帯や森林を、夜に探検します。
実は、カンガルーやポッサムは夜行性。彼らがイキイキとした姿を見せる夜に、彼らのフィールドへ訪れるわけです。
ネイチャーガイドを先頭に、頭にヘッドライトをつけて夜の森を歩くと、聞いたこともない音がどこともなく聞こえてきます。心臓、バクバク。でもガイドがいるから心配はありません。
ガイドが指さす先で、巨大なクモや不思議な形をした植物がライトに浮かびあがります。夜に見ると、ミステリアス感も倍増。ガイドはそれぞれの生態なども説明してくれます。
1時間ほど歩き、湿地帯の中央に延びたプラットホームで、飲み物とビスケットで小休止。ライトを消して見上げると、全天に星! 光害がないので、星の光も力強く感じます。
星空の感動の余韻を味わいながら後半の散策を続けると、なんと木の枝にポッサムが! 嬉しいサプライズです。
2023.12.16(土)
文・撮影=古関千恵子