なくしそうだから普段はつけてない
――どんな指輪にされたのか、興味がわきます。でも今日は指輪をされてないんですね。
田中 なくしそうだから普段はつけてないんですよ。エッセイにも書いたけど、俺は歯の矯正に使うマウスピースをなくしたことがあるくらい、本当に物をなくす人間なんです。普段アクセサリーもつけないから、忘れても気がつかないだろうし、排水口とかに入っちゃいそうだから落とすのも怖い。指輪をつける時は、妻と一緒にお出かけする場面だけにしようと思っています。
――上梓されたエッセイ集は、相方の山根良顕さんやパートナーも読みましたか?
田中 山根には渡したけど、まだ感想を聞いてないんですよね。
妻は、「面白い」と言ってくれましたよ。特に「薄毛の僕だから」というエッセイは印象に残ったみたいです。冒頭が「ハゲっていう言葉は使わないで、薄毛という言葉を使ってください」という打ち合わせで言われた一言から始まっていて、ほかのエッセイと比べると変わった始まり方だったから。
――約1年半の連載が詰まったエッセイですから、執筆の仕方も色々工夫されたんじゃないですか。
田中 そうですね。エッセイはさらさらと読めるのが大事かなと思ったので、そこは意識しました。自分ではわからないけど、多少は書くのがうまくなったんじゃないですかね。個人的には「あとがき」の章ですべてのエッセイがつながった気がして、満足しています。
――『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』の中で、読者におすすめしたいエッセイはありますか?
2023.09.23(土)
文=ゆきどっぐ
撮影=山元茂樹