この記事の連載
- 田中卓志さんインタビュー #1
- 田中卓志さんインタビュー #2
お笑い芸人「アンガールズ」の田中卓志さんが、2023年8月に初のエッセイ集『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』(新潮社)を刊行しました。田中さんと言えば、母親が作ったお弁当に冷凍食品が入っていることをイジられた際、「看護師として忙しく働いていたから、冷凍食品が入ることもある。でもな、身長をこれだけ伸ばしたのは、このお弁当だ」と言って、お弁当をかき込むテレビ番組でのシーンがSNSを中心に話題となりました。
2021年5月に亡くなられた母親とのエピソードや、2023年1月に結婚したパートナーとの暮らしぶりについてなど、田中さんの生活を綴ったエッセイについて聞きました。
月に一度はテレビ番組に出演していた母
――エッセイ集『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』(新潮社)には、SNSなどで話題となったお母様のお弁当の話も出てきますね。
田中 俺が35歳の頃に出演した番組だから、10年以上前の話ですけどね。バラエティ番組「はねるのトびら」で、芸人の母親がお手製弁当を持ち寄って、出演してくれたタレントさんたちに「食べたい」と思うお弁当を指名してもらう企画でした。
「結果を受けてリアクションしてください」と言われていたんですけど、俺の母親のお弁当が最下位になったんですよ。当時の母は月に一度テレビ番組に出演するくらい、面白いコメントが言える人でした。でもその時は、からあげが冷凍食品だったと指摘されて、うつむいてしまったんですよね。
――それでとっさに、お母様をフォローする言葉が出たんですね。
田中 そうですね。でも番組放送時は、視聴者から反響はなかったんですよ。じわじわ出てきたのは、YouTubeがはやりだした頃かな。気が付いたらその映像が話題になっていて、感想を聞くようになりました。
――お母様のお弁当で好きなおかずは何だったんですか?
田中 なんだろうなぁ。普通にからあげとかかな。梅干しは実家で漬けていたから、必ず入っていましたけどね。
中学から高校を卒業するまでの6年間、母は毎日お弁当を作ってくれたんです。からあげは冷凍食品でしたけど、野菜や日向夏なんかの果物は、畑で取れたものを使っていましたね。それに夜勤の時は、温めれば食べられる夜ご飯を準備してくれていました。
2023.09.23(土)
文=ゆきどっぐ
撮影=山元茂樹