ふっくらした豆と寒天、ほんのり甘い蜜が絶妙
お店の名物の豆かんは、作家物の美しい器にたっぷり。食べる直前に蜜をかければ、たっぷりの豆がツヤツヤと光ります。口の中でふっくらした豆が弾け、サイの目に切った寒天とふたつの異なる歯触りが楽しい。豆の風味とぷるっとした寒天に、ほんのりした甘さの蜜がからまって、幸せな気分になれます。
「豆かんを始めたのは、京都で食べたいと思っても出しているお店がなかったから」。東京で生まれ育った北村さんは、日常的に豆かんやあんみつを食べていたのだそう。「お店を始めるまでは、東京からわざわざ買ってきてもらったりしていました」とにっこり。お店で出すために試行錯誤を繰り返したと言います。
「豆かんは、お好きなものをトッピングして、好きなように食べていただけたらいいんですよ」と北村さんは言います。「あんこや白玉はもちろん、バニラアイスを自由にトッピングして、好きに召し上がれ」。
豆かんの豆も寒天も蜜も、すべて手作り。
「赤えんどう豆は、皮を破らないように弱火で煮ます。火が強いと豆が踊って割れてしまう。毎日、コトコト炊いて、できあがりまで全工程で5時間かかるんですよ。あっさりした甘さの蜜には、沖縄・波照間島の黒砂糖を使っています」。
豆かん以外のメニューも手作りしています。添えられた小皿の昆布も、お出汁を取った後のものを炊いているのだそう。
「亀山」には北海道産の大粒小豆を使用するなど、材料も吟味していますが、「京都には老舗の卸屋さんがあるから、甘味の材料は極上のものが手に入ります」とにっこり。
焼いた玄米餅の香ばしさに、小豆の風味と甘さがからむ「亀山」は、「おぜんざい」とは、また違った味わい。あんこのおいしさを堪能できます。煮あづきに白玉をトッピングして、抹茶とセットした「抹茶 白玉煮あづき付き」は、抹茶のほろ苦さとあんこの上品な甘さが好相性。至福のひとときが過ごせます。
右:写真入りのメニュー表がお店の入口に
「私達の世代のおやつといえば、家庭で、母親が作ってくれたものでした。そんな手をかけた手作りの味を伝えたい」と北村さん。
いい材料を入手して、ていねいに手作り。時間も手間もたっぷりかかった甘味のおいしさは、忘れられない思い出の味となるでしょう。
甘味処 銀閣寺 㐂み家
所在地 京都府京都市左京区浄土寺上南田町37-1
電話番号 075-761-4127
URL http://www.kimiya-kyoto.com/
Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2014.01.12(日)