最高の職人技から生まれる感動のあられ・おせんべい

 高級絹織物の西陣織で知られる京都・西陣。京都駅からタクシーで約20分の場所にある西陣織会館では、製織実演や展示即売、きものショーや十二単着付が行なわれ、西陣織について知ることができます。

上朱珍 1袋 210円

『京西陣 菓匠宗禅』は、2000年11月、西陣の一角にオープン。主・山本宗禅さんが店頭でおせんべいを手焼きしている姿が印象的な小さなお店でした。その本店が同じ西陣の130年経つ町家に移転したのは、2007年。茶房を設けて、あられやおせんべいを使ったパフェやぶぶ漬け(お茶漬け)、あられ茶懐石が味わえるだけでなく、予約すれば「あられ焼き体験」もできるようになり、観光客はもちろん、地元の方にも人気です。

左:店内。おみやげにしたい雅なパッケージのあられ、おせんべいがずらり
右:「ただいま」といいたくなるようなたたずまい
左:築130年の町家をリメイクした茶房。落ち着いた時間が流れます
右:茶房の入口はこちら

 山本宗禅さんは、1973年生まれ。大阪府守口市のかきもち・おせんべい屋の4代目で、大学卒業後に2軒のおかき屋で修業し、後を継ぎました。その頃から、洋菓子がブームで、和のお菓子はどんどん下火になっていきます。宗禅さんは、奥様が京都出身という縁があって西陣の職人さんを訪ね、「本物を作り続けていたら、必ず生き残れる」という言葉に勇気づけられます。そして、西陣に自店を開いたのでした。

亀のお餅を焼く山本章浩さん。茶房内に香ばしい香りが漂います

 現在、本店で販売と接客を担当しているのが、山本宗禅さんの弟である山本章浩さん。

「菓匠宗禅といえば、上技物のあられ。あられの中でも最高の技で作られます。その代表が『亀』です」。ふっくらとふくらんだ亀の形で、雄と雌があり、ぷっくりしているのが雌、ややぺたんとしているのが雄だそう。食べるのがかわいそうになる位、愛らしいあられです。カリッ、サクッと軽い歯触りで、ひとつ食べると止まらなくなってしまう。味も、秘伝醤油と西京味噌の2つあって、それぞれに香ばしく上品な味わい。亀は長寿のシンボル。縁起物として、お正月のお茶菓子にぴったりです。

「亀」を並べると、なんともかわいく、おめでたい!
亀(秘伝醤油/写真上、西京味噌/写真下) 各1袋 420円
西陣巻(価格未定)

 この『亀』のあられを亀の形にふくらませるのは、甲羅の模様のごく浅い溝の彫り。4ミリの薄さに切った餅をまず亀の形に抜き、次に、一枚一枚に2ミリ程度の模様を彫るのだそう。彫りが浅いと膨らまず、深いと焼いた時に割れてしまいます。中心部はコンマ数ミリ深く、外側ほど浅く彫ることで、ぷっくりと丸くふくらむのです。

「餅のふくらみを操る技です」と章浩さんは言います。くるくると巻いたおかき「西陣巻」も同じ上技物で、「の」の字に巻くのはたいへん難しい技なのだとか。

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2013.12.22(日)