旧非白人居住区を歩いて、南アフリカの未来を見る
南アフリカには、「タウンシップ」とよばれるエリアがある。アパルトヘイト時代、非白人を強制的に隔離し、住まわせた居住区のことだ。数あるタウンシップのなかでも最大規模のものが、ソウェト(SOWETO)だ。ヨハネスブルグの南西の郊外にあることから、South Western Townshipの略でそう呼ばれている。ここは、多くの政治的リーダーを生んだ場所(ネルソン・マンデラ氏もここに暮らしていたことがある)であることから、もっとも有名なタウンシップでもある。
そんなソウェトを訪問するツアーが、いくつかの旅行会社で催行されている。けっして物見遊山的なものではなく、ヨハネスブルグでは人気の高い社会派のプログラムだ。ツアーは、ガイドとともに住宅街やマーケットを歩く。なかには、孤児院や個人が経営するレストランやカフェを訪ねるケースもあるようだ。
エリア内には4つ星のホテルも誕生し、洒落たカフェバーやレストランが並ぶ通りは深夜までにぎわっている。アパルトヘイトは、繰り返してはならない悲しい歴史。しかし、それを隠すのではなく、今を生きる人たちに示していく南アフリカの姿に、この国の寛容さ、強さを感じずにはいられない。
芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn/
Column
新しい風が吹く南アフリカへ
ネルソン・マンデラ逝去によって注目を集めた南アフリカ共和国は、2014年、記念すべき民主化20周年を迎える。日本でこそあまり知られていないが、実はこの国には、素敵なラグジュアリーリゾートや多彩なグルメが満載なのだ。どんどん進化を続ける南アの魅力を掘り下げる。
2014.01.04(土)