おいしくて環境にやさしい南アフリカ産ワイン
フレッシュで心地よい飲み口のシュナンブラン、ベリー系の香りが印象的なピノタージュ……。南アフリカのレストランやバーでは、さまざまなブドウ品種のワインに出会う。口にすれば、そのどれもがおいしく、リーズナブルであることに驚かされるはず。チリやオーストラリアに続く第三世界のワインとして南アフリカ産が知られるようになったのはごく近年だが、ワイン造りの歴史は古く、約350年も前から続いている。
南アフリカでおいしいワインが生まれる最大の理由は、産地である西ケープ州の独特な気候。日差しは強いものの、南極から吹く風の影響で夏も比較的涼しいこと、日照時間が長い一方で、大西洋とインド洋にぶつかって生まれる霧が気温を下げることが、寒暖の差を生み、ワインに適したぶどうを育てるのだ。
環境や人に優しいことも、南アフリカワインの特筆すべき点。海から吹き上げる涼風は、ワインをおいしくするだけでなく、害虫や病気からぶどうを守る。無農薬栽培というと、手間暇がかかるため価格が高いイメージがあるが、ここでは、コストをかけることなく、おいしい無農薬ワインを造ることができるのだ。
さらに注目したいのは、2010年から導入されている「サステナビリティー認定シール」。これは、ワインの品質とサステナビリティー(持続可能性)を保証したもの。このシールがボトルネックに貼られていれば、ぶどうがボトルに記載されている地域で100%収穫されたこと、農場に害虫の天敵を取り入れ、化学農薬の使用を極力抑えていることを示している。栽培農家や醸造業者は、3年ごとに独立機関の監査を受ける決まりがあり、95%以上のワイン生産者が、この認定を受けているという。
おいしくて環境にも身体にも優しいワインを存分に味わいたい! そんな夢を叶えるのが、ケープタウンから東へ50kmほどにある「ワインランド」と呼ばれるエリアだ。その名のとおり、南アフリカで最も優れたワインの生産地として知られ、約700軒ものワイナリーが点在している。見学や試飲を受け付けているところも多く、併設のレストランではワインに合った料理も提供しているのだから、ワイン好きにはたまらない。ワイナリーだけでなく、高級リゾートやB&Bも充実し、ケープタウンから気軽に足を延ばせるリゾートエリアとしても人気を集めている。
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2014.01.01(水)