「年始のバーゲンで一目散に走り出す」イメージを怨霊に活かす

――ここからは出演作『禁じられた遊び』についてもお聞かせください。蘇り怨霊モンスター・美雪という非常に存在感を放つ役を演じました。中田監督からオファーがきたときはどんなお気持ちでしたか?

 中田監督といえば『リング』ですよね。もちろん私も拝見していて、本作の美雪という役でと伺ったとき、「これは貞子ポジションじゃないか!?」と驚いてしまって。観客の皆さんにとって、私はバラエティー番組の印象が強いのではと不安になったので「本当に私でいいんでしょうか?」とお尋ねしたら、「ぜひウイカさんにやってほしいです」とおっしゃっていただけたので、であれば「ぜひ! お願いします!」とお引き受けしました。

――美雪は台詞よりも、身体的な表現に尽きたかと思いますが、どのように作り上げていったんでしょうか? 通常の演技とは違う難しさがありそうです。

 怨霊だと思うと難しそうに感じましたが、幸せな日々を生きる美雪から物語は始まるので、そこまで難しくはなかったです。「あいつを絶対に許さない!」と化けて出る気持ちというのは、私も結構共感できるなと。ある意味他のどのキャラよりも感情移入できました。

――橋本環奈さん演じる倉沢比呂子に対して、ものすごく恨みつらみを持っていますもんね。

 「絶対許さない!!」みたいな強い思いが突き動かしているんですよね。本能で目標に向かって狙う気持ちでいいんだろうなと思って身体的表現をしていました。年始のバーゲンで一目散に走り出すイメージですね(笑)。

――非常にわかりやすいです。美雪は嫉妬深さのレベルが桁違いでもありますが、そのあたりはどう理解していましたか?

 私はそれがすごく理解できるタイプで。何事にも嫉妬が原動力みたいなところがあるので。例えば、「あんな作品に出られていいな」、「あの子かわいいな」、「脚細いな~」とか、人をうらやむ気持ちや小さな嫉妬があるから、だから私も頑張ろうとなるんです。美雪みたいに「そいつをどうかしてやろう」とは思わないですが、それをガソリンにするタイプだったので、嫉妬心についてはすごくよくわかるんですよね。

 おそらく美雪の場合は、生きているときから嫉妬心がすごく強い女性で、死んでしまって、人間として抑圧されたものや理性が消えて、最後に残ったもともとの根幹部分の念みたいなものが嫉妬だった。それが増幅してああいった形になったんだろうなって。……なので私も、今この場で命を奪われたら、嫉妬心でよみがえることは容易だと思います(笑)。

2023.09.07(木)
文=赤山恭子
撮影=今井知佑