「己への呪いが一番の障害になる」ファーストサマーウイカの道の切り拓き方
劇団員からスタートし、アイドル活動、バラエティー番組への出演、そして俳優業と、ファーストサマーウイカさんのキャリアは実に華やかだ。
出役については何でもござれ、向かうところ敵なし状態に見えるが、本人は「とにかく運と人とのご縁で、ここまでくることができました」と述懐する。
何にカテゴライズされることもない自由さと、ひとつひとつのオファーをしっかりとまっとうする覚悟を身に着け、ウイカさんは今、ますますの輝きを放っている。
俳優業における最新出演作といえば、『リング』シリーズや『事故物件 恐い間取り』で知られるJホラーの巨匠・中田秀夫監督による『禁じられた遊び』（9月8日公開）で、恐怖のキーパーソンを務めた。
ウイカさんのインタビューでは、本作の撮影エピソードはもとより、これまでの仕事を振り返り、キーワードとなった「運」と「縁」にまつわる多彩なエピソードなどを軽妙に語っていただいた。
運は人の縁が持ってくるもの
――CREA WEB初登場のファーストサマーウイカさんです。その活躍っぷりは誰もが知るところですが、お仕事とこれまでどのように向き合ってきたのか伺えますか？
私は、運に関してはとてつもなく強いほうだと思っています。“持っている”な、と思うんですよね。よく「いい運を引き寄せるためには、これを身に着ければ……」みたいなアイテムもありますが（笑）。けれど私は、運とは人の縁が持ってくる以外ないと思っているんです。
運は運動の運で「運ぶ」と書きますよね。結局は、自分が動いたり人が運んできたりすることによって運が作られるものだろうなと思っています。演劇も音楽も、自分ひとりではなく誰かとご一緒して、毎回そこで何か新しいお話をいただいて、転々としながら今ここにたどり着いた、という感じなんです。なので「運がいい」＝「いい縁と巡り合ってきた」ことなのかなと考えています。
――人の縁を大事にお仕事を重ねていった結果の今、ということなんですね。
そうですね。あと、固定観念といいますか「自分はこれがしたいからこうあるべきだ」みたいな、己への呪いみたいなものが一番の障害だったりするんじゃないかなと思うんです。
私は舞台役者出身ですけど、もともと舞台を全然見たこともなくて、ある日突然「舞台をやってみたい！」と思ったんです。無謀にもオーディションを受けて舞台役者になったのですが、その後アイドルになったときも同じで。1曲も知らないのにアイドルのオーディションを受けたんですね。
こうお話すると、「ウイカの性格だからできるんじゃない？」と思うかもしれないけれど、私も「これはやめたほうがいいかな、違うかな」と勘が働くときは、いかないわけです。だけど、「あ、面白そうだな、行ってみようかな」とちょっとでも思ったら、無謀であっても挑戦したほうがいいのかなと思っています。「私は役者になりたくて上京したのに、アイドルのオーディションなんて行っていいの……？ 夢を諦めていいの？」という変な呪いは、自分にはかけませんでした。
2023.09.07(木)
文＝赤山恭子
撮影＝今井知佑
