うちの子ベストショット③「買った覚えのないぬいぐるみ。」
――あまりお留守番はさせないようにしてるとのことですが、ご近所にママ友がいらっしゃるそうで。
僕は初対面の人や誰とでも仲よくなれるタイプじゃないので、つくしがいなければ知り合うことは絶対になかった方々やったなと。その人たちに今すごく助けられてます。
つくしの面倒を見てくれはる方の中に、営業許可を取ってペットホテルをやってはる方がいて。いつもその方に預けてるんですけど、この間、夏休みで地方に行くから預かれないと言われた日があって。どうしようと思ってたら、同じグループのママ友が「うちで預かるよ」って言ってくださったんです。
つくしも行ったことがない家に預けられるのはどうなんやろうと思いながら「本当にいいですか?」って聞いたら、そのペットホテルをやってはる方のところに預けてる時に、その人の家にもよう行ってるらしくて。
――(笑)。
僕が行ったことなくても、つくしが行ったことがある家は近所にいっぱいあるんですよ(笑)。で、預けている間に「こんな様子です」って写真を送ってくれはったんですけど、その家のわんちゃんのベッドでくつろいでて(笑)。
僕はそういうことをできるタイプでもないので、誰ともでも仲よく物おじしないすごい子やなぁと思いましたね。
うちの子ベストショット④「丸くしてもらった直後のつくし。」
――そういう一歩踏み込んだ関係性を築けるってすごいですね。
ほんまにたまたま出会えたというか。散歩していていつも同じような時間帯に会う人たちで、最初、僕は「あぁ、どうも」くらいの挨拶だったんです。けど、「おやつどう?」とか話しかけていただくうちに、つくしがそのママ友の方々を大好きになって嬉しそうに近づくようになったんです。
で、ある時「今からわんちゃんも入れるカフェでランチするんですけど、どうですか?」って誘われて。「いやいや、僕は大丈夫です」って言うてたんですけど、つくしが行きたそうにしてると「ほら、つくしくんも行きたがってるよ」って言われて……。
つくしがいたからこそ生まれた縁ですね。その出会いのおかげで、つくしに寂しい思いをさせへんようになりましたし、余計に1人でもええやんってなってしまってるというか(笑)。本来なら、つくしに寂しい思いをさせないためには友達とか後輩とかとも交流をもっと深めないとって思うはずなんですけど、思わずに済んじゃってるんですよねぇ。
それに、10何年続いているこの生活が当たり前になりすぎて、誰かが入ってくる必要性が……。わざわざこの子を1人にしてまで、うわぁ! かわいい! ってなる人間……おるんかなって思うんですよね。
――人間(笑)。そう思えるくらい、つくしくんとの時間を大切にされてるんですね。
つくしは別にここにいなくてもよかったわけじゃないですか。あの時、僕に選ばれたからこの家にいるだけで、自分で選択できないから。で、そうしてしまったからには、できる限りのことをしてあげたいんですよね。
2023.09.17(日)
文=高本亜紀
撮影=細田 忠
写真=岩尾 望