「チーム工藤家」で父を支えていた現役時代
――家事を楽しめるのは素敵ですね! 最後に、作品タイトルにかけて「永野家」「工藤家」「中川家」ならでは、我が家のルールはありますか?
工藤 たくさんありました。父親が現役のときの話になっちゃうんですけど。
中川 聞きたいです。どんな感じだったんですか?
工藤 例えば、朝はトイレを流せない、とか。
永野&中川 えっ!?
工藤 父親が365日24時間、いつも神経をはりつめていたんです。だから、父が寝ているときは音と光もダメで。靴(を履くとき)も「キュ」と鳴ったら起きちゃうから、親父を起こさないために家族みんなで動いていた感じだった。
中川 それは普通の家庭だと、なかなか伺えないお話ですよね……!
工藤 負けて帰ってきた日は全員で「おかえり」と迎える、親父がテレビで試合を見ているときは話しかけない、親父の試合をテレビで見るなら正座、とか。現役のときはそういう工藤家ルールがあった。
中川 それはすごいですね……!
工藤 でも、今は全然違うよ(笑)? 今のエピソードだと、誕生日は必ず集まるとかかな。誰の誕生日でもみんな集まるし、年末年始も一緒ですね。
永野 素敵ですね~! ……工藤さんのエピソードの後に言うの、ちょっと……。
中川 これを超える強い話ないよね(笑)。
工藤 ごめん、最初に話して!
――いえいえ、ぜひ「永野家」「中川家」のちょっとしたエピソードをぜひお願いします!
中川 うちは基本、自由な家だったので「あれはこうしなさい」、「これはこうしなさい」、「勉強しなさい」とかは全然なかったんです。だから……ルールがないのが我が家のルールかな(笑)!
永野 わかる、うちもそうでした(笑)。もちろん学生時代は門限があったり、友達とごはんに行くなら「誰誰とどこどこのごはん屋さんに行くね」と詳細を伝えるみたいなことはありましたけど、「勉強しなさい」とかはなかったです。何かを言われることもなく過ごしていたので……工藤さんのエピソードにはかないません!(笑)
Netflixシリーズ「御手洗家、炎上する」
独占配信中
ごうごうと真っ赤な炎に焼かれる我が家=御手洗家の邸宅を、呆然と見守る少女・杏子。炎の前で「ごめんなさい...」と泣きながら土下座をする母・皐月(吉瀬美智子)。出火原因を作ってしまった皐月は、杏子と妹の柚子を連れ、大病院の医院長である夫・治(及川光博)と離婚。その後心身ともに限界を迎え、全生活史健忘症(記憶喪失)に侵された皐月は、すべてを忘れてしまう。13年後――。25歳となった杏子(永野芽郁)は、【山内しずか】という偽名を使い、家事代行業者として御手洗家に潜り込む。杏子の雇い主は、父・治の再婚相手=御手洗真希子(鈴木京香)。新たな御手洗家で何不自由ない生活を送る真希子は、美しくも傲慢なセレブ妻になっていた。実は真希子は、かつての皐月のママ友。シングルマザーとして息子2人=希一(工藤阿須加)と、真二(中川大志)を育てていた真希子は、毎日の生活の苦しさからリッチで優雅な皐月に強い憧れの念を抱いていた。だが幼い杏子は、あの火事の日確かに見た。燃え上がる我が家を取り巻く野次馬の中に、喜びをほほに浮かべる真希子の姿を――。真希子こそ火事の真犯人だと確信した杏子は、妹・柚子(恒松祐里)や、親友のクレア(北乃きい)らと協力し合い、自分たち家族を崩壊させた真希子への復讐を決意する。それは母の汚名を晴らし、一刻も早く記憶を取り戻してほしい一心からでもあった。異常に警戒心の強い真希子から徐々に信頼を得て、隙を見ては御手洗家を嗅ぎまわる杏子。しかし真希子の狡猾さは、杏子の予想をはるかに超えており......。
https://www.netflix.com/title/81511743
永野芽郁(ながの・めい)
1999年生まれ。東京都出身。09年に映画で女優デビュー以降、映画、ドラマと幅広く活躍。18年NHK連続テレビ小説「半分、青い」のヒロインに抜擢され、エランドール賞新人賞(19年)を受賞。映画『そして、バトンは渡された』(22)で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、同作と映画『地獄の花園』(21)で報知映画賞主演女優賞。23年には映画『母性』で日本アカデミー優秀助演女優賞を受賞など、快進撃は続く。23年9月1日より山田洋次監督作『こんにちは、母さん』が公開。
工藤阿須加(くどう・あすか)
1991年生まれ。埼玉県出身。12年ドラマ「理想の息子」で俳優デビュー。14年映画『1/11じゅういちぶんのいち』、『百瀬、こっちを向いて。』で、日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。以降着実にキャリアを積み、18年ドラマ「ザ・ブラックカンパニー」ではドラマ初主演を果たした。近作にドラマ「教場」(20)、「緊急取調室」(21)、映画『総理の夫』(21)、『ハケンアニメ!』(22)など多数。
中川大志(なかがわ・たいし)
1998年生まれ。東京都出身。11年ドラマ「家政婦のミタ」の長男役で一躍注目される。以降ドラマ「花のち晴れ~花男Next Season~」(18)、NHK連続テレビ小説「なつぞら」(19)など次々に話題作に出演。19年には映画『坂道のアポロン』(18)、『覚悟はいいかそこの女子。』(18)で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。主な出演作に映画『砕け散るところを見せてあげる』(21)、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22)など多数。23年エランドール賞新人賞受賞。
2023.07.25(火)
文=赤山恭子
写真=釜谷洋史
スタイリスト=亘つぐみ@TW(永野芽郁)、伊藤省吾(sitor)(工藤阿須加)、徳永貴士(SOT)(中川大志)
ヘアメイク=石田絵里子(永野芽郁)、髙田裕栄(HAPP’S.)(工藤阿須加)、佐鳥麻子(中川大志)
衣装協力=PRADA(永野芽郁)