「人は誰しも辛い過去がある」(工藤)
――工藤さんはいかがでしたか? ファースト・カットから工藤さんとわからないくらい別人の雰囲気でした。
工藤 ありがとうございます、ヘアメイクに助けられた部分も大きいかなと思います。今、芽郁ちゃんもお話していたように、この作品に完全な悪はいないんですよね。そんな中で、希一の心情を表現するために、少しダークな部分を強めていったり、あえて見せないようにしたりなど、自分の過去の苦い記憶などを意識して演じるように心がけていました。
中川 僕の演じた真二は、希一とは兄弟だけどキャラクターがまったく違って。真二はものすごくピュアで、ちょっと抜けているところもあるけれども、彼なりに家庭へのコンプレックスを抱えている、という役どころでした。とにかく「ぱっ!」と陽のオーラを放っていること、真二が出てくると視聴者の皆さんもほっとできるような存在でいようと、監督とも話していました。
――演じたキャラクターについて、それぞれご自身と似ている・似ていないところや共通点はありましたか?
永野 共感しながらやりたいという思いがどこかであったので、似ているところを探し出したりもしていました。杏子の「自分じゃなく、誰かのために何かをしてあげたい」という気持ちは特に理解できたと思います。私自身も母のためでも、友人のためでも、自分が誰かを救うきっかけになったり、喜ばせる何かになったらいいなと思って過ごしてはいるので。……とは思いながら、杏子ほどの信念の強さはないかなと思ったり……。
――すごく長い間、復讐計画を立てますもんね。
永野 はい。13年間復讐したいと思い続け、その復讐も苦しめる目的ではなく、ただ謝ってほしいという思いだけでやっていますから。そこまでできるのかとは思うから、そこはたとえそうなりたくてもなりきれないかなあ、とは思いました。
工藤 希一の心情的に、理解できない部分はありませんでした。人は誰しも辛い過去があると思いますし、傷ついたこともたくさんあると思います。自分とは違う部分を挙げるなら、心が苦しかったのは杏子と対峙するシーンでしたね……。
2023.07.25(火)
文=赤山恭子
写真=釜谷洋史
スタイリスト=亘つぐみ@TW(永野芽郁)、伊藤省吾(sitor)(工藤阿須加)、徳永貴士(SOT)(中川大志)
ヘアメイク=石田絵里子(永野芽郁)、髙田裕栄(HAPP’S.)(工藤阿須加)、佐鳥麻子(中川大志)
衣装協力=PRADA(永野芽郁)