母からの「こういう息子であってほしい」という思い

――少し乱暴な描写になるところですね。

工藤 暴力的というか「戦う」に近いシーンなので、あのときは心が苦しかったです。

中川 あのシーンはすごく緊迫感がありましたよね。

工藤 覚悟はしていましたけど、現場で「芽郁ちゃんにケガなんてさせられない!」と思いながら、心も苦しくて。

永野 工藤さんもアクション部さんも「ケガだけはしないように」と安全をすごく考えてやってくださったので、私は特に心配することもなく思いっきりやれました。自分たちの思いが対峙するシーンではあったので、集中しながらも「ここからまた関係性がいろいろと動いていくんだな」というところに面白みも感じていましたね。

工藤 うん、本当にそうだよね。

――それでは中川さんも、似ている点があれば教えていただけますか?

中川 この役に限らず、どんな役でも自分と通じる部分から広げていきます。台本上で起きていることが、自分にとってはどれくらいの出来事なんだろう、と考えていくというか。真二は周りからの見られ方、求められ方、母からの「こういう息子であってほしい」という思いに葛藤を持ちながら生きていく男の子で、僕らの仕事もちょっと似たようなところがあるなと思っていて。周りからの先入観や持たれているイメージとの葛藤が起きる瞬間もあったりするので、「本当はこうなんだけど」というイメージを重ねながらやっていました。

2023.07.25(火)
文=赤山恭子
写真=釜谷洋史
スタイリスト=亘つぐみ@TW(永野芽郁)、伊藤省吾(sitor)(工藤阿須加)、徳永貴士(SOT)(中川大志)
ヘアメイク=石田絵里子(永野芽郁)、髙田裕栄(HAPP’S.)(工藤阿須加)、佐鳥麻子(中川大志)
衣装協力=PRADA(永野芽郁)