私が今までに見たアウトドアの「忘れられない景色」
「印象的なのは、登山中に見た月の風景。昨年9月に南アルプスの白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)を縦走した際に、白峰御池小屋という山荘の近くで撮りました。
この月を見たときに、『月白風清(げっぱくふうせい)』という禅語をふと思い出しました。僕は茶道を習っているんですが、稽古のときに掛軸にその言葉が書いてあったんです。中国北宋代最高の詩人といわれる蘇軾の代表作に収録された禅語で、月の輝く情景を描写しただけではなく、禅の教えでは『社会の中で金品や地位、名誉などの欲にとらわれていては、自身が輝く月や清らかな風のようになれない』と教えています。
そんなことを月の下で考えていると、不思議な気持ちになりました。千利休もこの月を見ていたんだなぁとか夏目漱石は“I love you”を『今夜は月がきれいですね』と訳したなぁとか、思いを巡らせていました……って大丈夫ですか、これ?」
――そんな松永さんがアウトドア初心者に伝えたい、「アウトドア半径を広げるコツ」とは?
「登山もキャンプも面白いことって全部すごく面倒くさいんですよね。友達との飲み会も当日になると、面倒だったりするじゃないですか。僕もクライミングをしていると『休日の朝早くに起きてまで、なんでこんな怖いことをしてるんだ』って思いますよ。
でも、行けば楽しいから行ってよかったなと思う。だから、重い腰を上げるためにご褒美をセットにするのがおすすめです。例えば、等々力渓谷を散歩したら、帰りに『パティスリーASAKO IWAYANAGI』でおいしいパフェを食べるとか、高尾山に登ったらちょっと奮発して『うかい鳥山』でランチするとか、筑波山なら『松屋製麺所ラーメン』を、御嶽山なら『石川酒造 食道いし川』を……登山したらふだんは食べないジャンクフードを我慢しない、とかでもいいと思うんです。
特に始めたてだったらつらいだけだと嫌になりかねないので、ご褒美がないと! ですね」
Karrimor(カリマー)
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Column
【アウトドアブランド社員に聞く!】外遊びを楽しむための必携リスト
ちょっと遠出してキャンプやハイキング、身近な自然でバーベキューやピクニック……そんなアウトドアの時間をいっそう楽しくしてくれるのが、機能的で素敵なアイテムたち。でも数多く発売されているアウトドアグッズの中からどれを選べばいいのか迷ってしまう。そこで外遊びの達人である、アウトドアブランドの社員たちにおすすめを聞いてみよう。
2023.07.29(土)
文=一ノ瀬 伸
撮影=鈴木七絵