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朝ドラのオーディションで「朝の顔じゃないな」と

──悪役で戸惑うのではなく、逆だったのですね。

遠藤 『白い春』の後、2010年から2011年のNHKの連続テレビ小説『てっぱん』でも「いいお父さん」をやらせてもらったんですけど、あれでようやく、自分も「いい人」を演じていいんだと自信がつきました。

 朝ドラですから、共演者がさわやかな方ばかりなんですよ。それに対し、俺は20歳前後の時に朝ドラのオーディションを受けて「朝の顔じゃないな」って落とされてますからね。そんな自分が出演していいのかと、最初はビビりましたね……。

 場面ごとに「チェック」といって、モニターで撮影シーンのチェックをするんですけど、怖くて見られない(笑)。完パケ(作品の映像から音声が全てそろい、編集も終了している完成品)を見て、「ああ、なんとかイケてるな」と安心できるようになって、少しずつ“普通の役”も受け入れられるようになりました。

──さまざまな役を演じておられるいまでも、悪役やクセの強いキャラクターのほうが、演じやすい部分はありますか?

遠藤 演じやすいというか、悪役って、工夫するところがいっぱいあって楽しいんです。ただ、チンピラくらいまではいいんですけど、それより上の立場になると、立ち姿や声のトーン、しゃべり口調までつくりこまないとなりません。

 若い頃はヒール役に徹するために、現場でもほかの共演者やスタッフと距離を置いてとんがった役づくりをしていたけど、いまは輪の中にどんどん入っていっちゃうので、そこまで尖った役はできないかもしれないです(笑)。でもまた尖りまくった悪役も挑戦してみたいですね。ただし、弁護士以外で、お願いします(笑)。

ヘアメイク:村上まどか
スタイリスト:中本コーソー

●衣装クレジット
ジャケット/ベスト suzuki takayuki 
(問い合わせ先 107-0062 東京都港区南青山5-12-28 メゾン南青山602 03-5846-9114)
その他stylist私物。

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2023.07.19(水)
文=相澤洋美
撮影=志水 隆