「夫」の役割じゃなくても一緒にいたいと思えた人

激動の一年半を振り返り、「記憶がないくらいあっという間だった」と語るpecoさんの「第二の人生」は始まったばかりだ。

 ryuchellへの思いはずっと高いところにあって、子育てを通して惚れ直すほどでした。だから、正座をしてカミングアウトしてくれた時は体に電気が走ったような衝撃を受けました。

 でも一方で、母の気質を受け継いでポジティブすぎるのかもしれないですけど、「浮気や不倫より全然ええやん」とも思えたんですよね。人の性という、誰も動かすことのできないことだからこそ、諦めがついたのかもしれません。何より私にとってryuchellは、「夫」の役割じゃなくても一緒にいたいと思えた人なんです。

 今後ryuchellには、親としての責任と覚悟さえ持ち続けてくれたらどう変わってくれてもいいし、それこそ、ryuchellがしてくれたカミングアウトという大きな勇気を無駄にしてほしくないですね。いきいきしているryuchellの姿を見て私も受け入れてよかったなって思うし、泣いて悩んで考えて、この形をつくって発表するところまでやってよかったって今、心から思えるんです。

peco(ぺこ)さん

1995年大阪府出身。カリスマ読者モデルとして人気を集め、SNSの総フォロワー数は280万人以上。現在は4歳になる息子の育児の様子をSNSで発信している。

2023.12.18(月)
Text=Natsumi Koizumi
Photographs=Wataru Sato

CREA 2023年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

母って何?

CREA 2023年夏号

母って何?

定価950円

CREAで10年ぶりの「母」特集。女性たちにとって「母になる」ことがもはや当たり前の選択肢ではなくなった日本の社会状況。政府が少子化対策を謳う一方で、なぜ出生数は減る一方なのか? この10年間で女性たちの意識、社会はどう変わったのか? 「母」となった女性、「母」とならなかった女性がいま考えることは? 徹底的に「母」について考えた一冊です。イモトアヤコさん、コムアイさん、pecoさんなど話題の方たちも登場。