次世代サステナブルフード「Deats」との出合い

 福島料理長は自ら大豆を使ったプラントベースミート作りを試みるも、完成したものは手間がかかり、安定してお客様に提供することが難しい。諦めきれずにさまざまな方法を模索していた中で、ディーツフードプランニングという会社が作っている「Deats(ディーツ)」と巡り合う。

 ディーツはおからとこんにゃくをベースに作られるサステナブルフード。においやえぐみといったクセがなく、ここに研究中、選び抜いた大豆を合わせ、改めて食材を再構築し、ついにオリジナルのプラントベースミートが完成した。これは安定的な供給も可能で、大豆は溶剤を使わずに低温抽出、添加物の使用はこんにゃくを固めるための水酸化カルシウムだけという安全性も高いものだ。もちろん味も、福島料理長が妥協せずに調整している。

味の黄金比を追求した「オルタナティブバーガー」が完成

 完成させたプラントベースミートは結着力もあり、ひき肉として使うのがよい。恵比寿のハンバーガーショップ「黒毛和牛バーガー BLACOWS(ブラッカウズ)」でハンバーガーを作ることになり、今度はメニュー開発をスタートさせる。

 「ブラッカウズ」の信念はというと、「口の中で完成する“味の黄金比”」。初めて使用するプラントベースのパティとその他の食材、パンを合わせ、味の面でも一切妥協しないハンバーを作ることになったのだ。

 実に数カ月の試行錯誤を経て完成したのが、今回発売した「オルタナティブバーガー」だ。肉を使わないパティに合わせたのは、京都・福知山産のこだわり卵を使ったチーズオムレツ、自家製のトマトソース、パプリカソース、タルタルソース。食感のアクセントなったのは、パルミジャーノチップスやシチリア産のアーモンド。これらを「メゾンカイザー」に特注したバンズをさっくりと焼いて挟んでいる。

 やわらかなパティととろけるオムレツ、サクサクのアーモンド……。決して肉のフェイクを作るのではなく、おいしいハンバーガーを作ることに注力したからこそ完成した、まさに、これからの肉に替わる“オルタナティブ”なハンバーガーだった。

 今後は「このひき肉を使って、ボロネーゼやカレー、麻婆餡なども作っていきたい」と福島料理長。さまざまな店舗展開をしているヤザワミートが提案する「たまにはお肉を抜いてみませんか?」という提案をおいしく味わいたい。

黒毛和牛バーガー BLACOWS(ブラッカウズ)

所在地 東京都渋谷区恵比寿西2-11-9 東光ホワイトビル1F
電話番号 03-3477-2914
営業時間 11:00~15:00(14:00 L.O.)、17:00~22:00(21:00 L.O.)
定休日 無休
https://valuet.co.jp/brands/blacows/

2023.06.10(土)
文=CREA編集部