ジュノンボーイを経て、2.5次元舞台を中心に活躍している阿久津仁愛。ドラマ『未来への10カウント』では木村拓哉と共演した彼が、出世作となったミュージカル『テニスの王子様』や2023年6月2日(金)公開の二役を演じる初主演映画『美男ペコパンと悪魔』の思い出について振り返ります。
●いきなり「テニミュ」座長という大役に抜擢
――姉一人、妹二人の四人きょうだいで育ったそうですが、幼い頃の夢を教えてください。
男性アイドル好きな母の影響もあり、家族みんなでコンサートを観に行ったり、家でも音楽に合わせて踊ったりしていました。だから、幼稚園ぐらいまでは「僕もアイドルになりたいなぁ」と思ったことがありました。ただ、人前に出ることがそこまで好きではなかったんです。
――そんな家族の勧めにより、2015年に「第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に応募され、準グランプリを受賞されます。
「雑誌のモデルオーディションに応募しない?」と聞かれたので、「いいよ」というぐらいの気持ちでした。そうしたら、あれよあれよと準グランプリに選んでいただいて、今の事務所(キューブ)に所属することになりました。とても厳しい世界ではありますが、いろいろな仕事ができる道を作っていただいたこともあり、ここで頑張ってみようと思いました。
――16年、『ミュージカル・テニスの王子様3rdシーズン』にて、主人公・越前リョーマ役に抜擢されます。人気キャラの9代目になったわけですが心境はいかがでしたか?
それまでも、いろんなオーディションを受けていたのですが、なかなか合格できず、焦っていたときだったので、「来た! ここからだ!!」と思いました。ただ、本格的に歌やダンスを習っていたわけではないので、急に座長という立場でやらせてもらうことは、かなりの不安やプレッシャーがありました。そんななか、スタッフやキャストの方、ファンのみなさんに支えていただきながら、ステージに立っていくうちに、どんどん自信へと繋がっていきました。
●自分が成長できるサポーターズクラブでの活動
――その後、4年にわたり、リョーマ役を演じられました。
長く続けていたので、どんどん役が自分の中に入るようなイメージがありましたし、過去作品を観返して、いろいろと改善するために研究しました。そんな「テニミュ」は、自分にとって転機となった作品です。高校1年のとき、オーディションに受かったことで、それまで東京まで通っていたのですが栃木の実家を出て一人暮らしを始めるきっかけになった作品でもありますし。
――その一方で、キューブ若手俳優サポーターズクラブ「C.I.A.」のメンバーにもなります。
周りのみんなをライバル視しているとか、バチバチしているというよりは、本当に仲が良くて、みんなで切磋琢磨して、高め合っているような感じです。僕たちのYouTubeチャンネルもあるんですが、自分で企画を提案したりして、スポーツやバラエティのノリのような、普通に仕事をしていたら体験できないような面白い企画に、いろいろ挑戦できることも楽しいです。そういう意味では、自分が成長できる場所だと思っています。
――19年、古田新太さん主演のドラマ『俺のスカート、どこ行った?』に出演。「テニミュ」と同じ学園モノではありますが、舞台とは異なる映像の仕事はいかがでしたか?
ドラマの現場は舞台と違って稽古がないですし、(前のシーンとの)繋がりを注意しなければいけないため、役としての気持ちの作り方が難しいと思っていましたが、等身大の高校生の役なので、素直にお芝居したり、リアクションをしたりすることを心がけました。あとは、事務所の先輩である古田さんから何かを学びたい、という気持ちで現場にいました。そして、表情の作り方やお芝居のテンポなどを近くで学ばせてもらいました。
2023.05.26(金)
文=くれい響
写真=末永裕樹
ヘアメイク=伊藤里香
スタイリスト=東正晃