NCTは才能の塊!

 K-POPの進化といえば、ファンの皆さんもですね。BoAや東方神起は流暢な日本語を喋っていたから、日本のファンは、ダイレクトに彼らの会話を楽しんでいたけど、NCTのライブでは彼らがたまに話す韓国語を通訳さんが訳す前に、たくさんの日本人が理解していて驚きました。

 また、SNSの時代になり、ファンの皆さんから直接感想や意見が届くようになりました。それだけではなく、メンバーの写真や動画をファンが自ら編集して発信したり……しかも、そのセンスも最高なんです!

 本当にメンバーのことを愛していて、彼らのパフォーマンスや楽曲一曲ずつに強い思いがあるからこそ、ファンの皆さんから出てくる発想は興味深い。私が学ぶこともたくさんあるので、感謝の気持ちを伝えたいですね。

 ここ数年で気が付いたのは、いまアイドルやアーティストを目指す子はK-POPの影響を受けている子が多いということ。なりたい側も、求める側もワールドワイドに増え続けています。多国籍で構成されているグループも多くなったので、メンバーが何カ国語も話せたり、歌やダンス以外での努力にも拍手です。

 私は普段はアメリカで生活しているのですが、アメリカでもK-POPグループの活躍が増えています。私がツアーの演出を手掛けたSuper Mが2019年にハリウッドのキャピトルレコードでショーケースをやって、アメリカのファンがたくさん集まっているのを見たときは驚き、感動しました。でもその反面、納得もできるんです。なぜなら、音楽とダンスを含めたパフォーマンス全体のクオリティがハンパないから。

 私が初めてNCT 127の振付をした際、事前に彼らの映像を見て、ホントぶっ飛びました。「この子たち、ヤバい!」って。

 音楽のスタイルもそうだし、ボーカル、ラップのスキル、そしてパフォーマンスは私が尊敬する振付師トニー・テスタの振付の意図をマックスに表現できる。私が最近一緒にコンサートを作ったNCT DREAMでも感じたのですが、彼らの可能性は、本当に無限大に思えます。

 K-POPの進化は止まらないし、私もそこに携わる者として常に進化をし続けたいと思います。

●お話を聞いたのは……
仲宗根梨乃(なかそね・りの)さん

ロサンゼルス在住のダンサー、振付師、演出家。1979年生まれ。沖縄県出身。19歳で渡米。振付デビューは2008年。現在は振付だけでなく、SHINee、少女時代、SuperM、NCT127、NCT DREAMなどのコンサートの演出も手がける。

2023.05.10(水)
Text=Yoko Kikuchi

CREA 2023年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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