俳優の竹内涼真さんが、本年で俳優デビュー10周年、さらには4月26日に30歳の誕生日を迎える。
多くの主演作やCM出演、順風満帆な濃いキャリアを振り返れば、「えっ、竹内涼真ってまだ20代だったの!?」と思わず驚きも覚えてしまう。だが、デビュー時に持っていた爽やかさから、近年ではたくましさや落ち着きも加わり、ますます大人の俳優へと変化した彼、さらに進化しそうな30代の姿も予感させてくれる。
そんな竹内さんは、自身の20代について屈託のない笑みを見せながら、あけすけに話してくれた。とはいえ、そんな言葉とは裏腹に、地に足をつけ目標設定を定めひとつずつクリアしてきたこと、実直に俳優業に取り組んできたことは、インタビューの言葉の端々からうかがえた。
竹内さんがこれから見据える俳優人生とは、自分とは、いったいどのようなものなのか。
これまでとこれからの自身について尋ねたほか、彼の20代の代表作のひとつとなった『君と世界が終わる日に』の長く続くシリーズへの思いも語ってもらった。
30代は「何を選ぶのか」を意識していきたい
――4月26日に30歳のお誕生日を迎える竹内さんです。30代はどんな風に過ごしていきたいという展望はありますか?
30代は自らいろいろ吸収したい、と思っています。20代のうちは忙しくて、色んなことがどんどん“入ってきた”感じでした。自分に合うものも合わないものもたくさん入ってきたから、その選別がやっと20代のラストででき始めたのかなと思っています。
30代からは、自らがどうやっていろいろなものを吸収しにいくか、どういうことを選ぶかが大事になってくると思っています。その結果が40代やその先に出て、さらに人生が決まってくるのかなと思ってもいるので、何を選んでいくのかを自分の中で明確にして、道筋を立てて吸収していきたいです。
――それは、作品において「こういうことを吸収したい」ということですか?はたまた勉強に近いようなことでしょうか。
勉強に近いですね。でも全部自分の演技や作品づくりに役立つと思っているので、そのふたつは結びついていると思います。自分というものの価値を高めていい状態をキープするために、どこに行ったらいいのか、どういう人と関わりたいのか、何を吸収したいのかを明確にしていくことが大切なのかなと思っています。
――20代で「いいことも悪いことも」というお話もありましたが、たとえ悪いことでもいい経験に変えていったような印象はありますか?
どちらかと言うと、「自分に合うもの/合わないもの」という感じです。それをたくさん知れた20代だったので、これからは自分から能動的に吸収していこうとしています。
――20代を振り返って、特に大事だったと思うことはどんな経験でしたか?
ええ、何だろうなあ……。自分の中で、いわゆる「失敗したな」と思った出来事すべてですね。AIとかもデータの量が増えていって、どんどんいいものが出てくるじゃないですか。成長のためにはデータが大事だと思っています。
――失敗してしまったとき、その瞬間や直後はモチベーションが下がったり、落ち込むようなこともありましたか?
落ち込んでるのかなあ……落ち込むときはその時間を短くしています。でも、やっぱり悔しい気持ちのほうが先行します。悔しいから行動できるんです。
あとは演技においても何でも、決めつけないことを覚えました。自分の感覚がどれだけ狭いのかを20代で痛感したんです。まだ(俳優業を)始めて10年ですし、やっと地に足が着いたぐらいなのかな、と自覚するようにはしています。基礎が半分くらいできたぐらいだと、今は思っているんです。
――「まだ10年だなぁ」と思う瞬間は、具体的にどういうときですか?
毎日現場で思っています。自分が成長できていると実感したからといって、その作品に良い影響を与えられているかは分からないですよね。でも、いい作品にするために毎回努力するのみかなと。
2023.04.15(土)
文=赤山恭子
撮影=杉山拓也
衣装協力=TANAKA