演技の幅が広がり続けるその訳とは

 男振りを上げながら、俳優としても、あくなき進化を遂げている竹内涼真さん。

 自身の持つ爽やかなイメージを、ときに全開にしてみせ、ときには軽やかに裏切ったり、役者として緩急をつけ、観客の期待に応え続けてきた。

 そんな竹内さんのバイオグラフィーはと言うと、近年、ますますの広がりを見せている。

 2021年だけで振り返っても、2月に公開された映画『太陽は動かない』では本格的なアクションに初挑戦、『17 AGAIN』ではミュージカル初挑戦、そして最新作『鹿の王 ユナと約束の旅』ではアニメーション声優に初挑戦と、“初”もの尽くし。

 挑戦を続ける理由を竹内さんに聞けば、俳優業への確固たる思いと強い希望が口をついて出た。

 CREAに登場するのはおよそ5年ぶりとなった竹内さん。訪れた変化、そして彼の「今」を知ろう。


受け身マインドは捨てた、目標は世界へ

――2016年以来、5年ぶりの『CREA』登場となりました。当時の誌面をご覧になって、いかがですか?

 だいぶ昔ですよね! これ、渋谷で撮ったやつじゃないですか? 懐かしいな~。

――当時、取材にて、「王道の作品に出演して知ってもらうこと」が目標とお話しされていたようです。

 ああ、そうでしたか! そうかあ……「王道」という言葉は、今考えるとちょっとざっくりしすぎていますね(苦笑)。おそらく自分のことを知ってもらいたい、みんなが注目する作品に出たい、ということだったんだろうなと思います。

――それがまさに叶っている今、次のステップや目標は何でしょう?

 今は、出たいという気持ちだけでなく、どうやったら面白い作品を作れるか、という考えも持つようになりました。受け身でいるだけではダメだと思うようになったんです。当時から、一番大きく変わったところですね。

――デビュー以降、様々な経験をしてこられて、徐々に変わってきた感じですか?

 そうですね。やっぱりこの仕事に夢中になっていったというのもありますし。僕は「これは面白い」と思える作品を、観てもらえる人に届けたいという思いが一番強いんです。どうやったら面白くなるかを常に考えています。もちろん「こういう作品に出たい」といった想いもありますけど、キャスティングしていただいて、内容を理解して、どうやったらその作品の魅力につながるのか、という見方になっています。

――例えば、「こうしたい」という思いがあった場合、その台本の筋を変えることになっても、竹内さんから提案したりもするんですか?

 提案がある場合、僕は自身の考えを相談するようにしています。台本に書いてあるままよりも、「こうしたほうがもっと面白くなるかもしれない」と思うことがあれば、その意見を必ず制作の方たちに伝えます。よりこだわるようになったというよりも、自分がやる仕事の責任感が、大きくなってきたのかもしれないですね。

――同じ20代でこうも違うかというほど、マインドがまったく変わりましたね。

そうかもしれないですね、はい(笑)。23歳なんて大学を出ていたら新社会人くらいですよね? まだまだ子どもだったと思います。今は、だいぶ大人になれたと……思います(笑)。

――間もなく公開される映画『鹿の王 ユナと約束の旅』の声優をはじめ、今年はミュージカルにアクションなど、初挑戦が続きました。仕事の幅を広げたいという思いがあってやっているのか、どういう気持ちが行動力へと駆り立てているんですか?

 自分の感覚として、何か新しいことを求めているということがあるのかもしれません。全部自分がやりたくてやらせていただいているんですけど、「どうせなら、もっと新しいことをしたほうが、喜んでいただけるのではないか?」という感覚が、最近ずっとあるんです。ミュージカルに関しても、前から1度挑戦したいと思っていましたし、オリジナルストーリーでやったドラマ『君と世界が終わる日に』も、ゾンビの世界観で、挑戦的な企画ができたと思っています。

 今は動画配信サービスが発達しているので、世界各国の作品が観られますよね。そういう中に参戦していけるような作品を作りたいと思っています。「負けたくない」という思いは持っているかもしれませんね。

2022.01.28(金)
文=赤山恭子
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=佐藤友勝
スタイリング=徳永貴士