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●映画でもマンガでもずっとかっこいい若者に憧れていた

 1953年に連載がスタートした『リボンの騎士』は、少女マンガ史を語る上で重要な作品である。ある国の王女であるサファイアは、天使のいたずらによって男の心と女の心を持って生まれてきた。王位を継承するために王子として育てられたサファイアは、剣をとって悪と戦い、ときに本来の少女の姿にもどって恋する乙女にもなる。ひとりのキャラクターがヒロインとヒーロー両方の役割を果たしているのだ。現代の視点でみればジェンダー観を考えさせる、時代を先取りした作品といえる。

「ストーリーマンガで、さらに斬新なヒロイン像を登場させたのが手塚先生の『リボンの騎士』です。

 『リボンの騎士』は楽しかったですね。そのころは「戦うヒロイン」なんてありえませんでしたから。わたしは映画でもマンガでもずっと中世の騎士に憧れていたんです。だって、かっこいいから」

2023.03.31(金)
文=粟生こずえ
写真=鈴木七絵