かつての一大産業「アダン葉帽子」

 阿嘉島では“アダン葉帽子”という民具の作家さんにも会えました。

 アトリエトコイの比嘉聡子さんは、1910年頃に沖縄の産業として盛り上がりつつも一度は消滅してしまった、アダン葉帽子の製作やワークショップを開催しています。

 比嘉さんはたまたま沖縄のテレビ番組でアダン葉帽子の復活にかける人々のドキュメンタリーを見た際、沖縄に生まれ育ちながらもそんな産業の存在を知らなかったことに衝撃を受け、すぐその人の元へ習いに出かけたそう。

 アダン葉帽子は頭のてっぺん部分の“タコのちぶる”と呼ばれる部分から編みはじめ、根気よく編むことの繰り返し。一種、瞑想に近いとか。

 帽子をひとつ完成させるのに、アダンの葉の幅が3ミリなら5日、幅が2.5ミリだとその差わずか0.5ミリの違いなのに約1カ月もかかるそうです。

 きっちりと編みこまれたアダン葉帽子は、民具という名のアートです。

阿嘉島

●アクセス 沖縄本島の泊港からクイーンざまみで約1時間、フェリーざまみで約1時間半
●おすすめステイ先 Lagoon 315 https://www.lagoon315.com/

【取材協力】

アトリエトコイ https://tokoyhat.storeinfo.jp/
さんごゆんたく館 慶良間諸島国立公園ビジターセンターhttps://www.facebook.com/sangoyuntakuvc/?locale=ja_JP

 

古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

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2023.03.11(土)
文・撮影=古関千恵子