この記事の連載

県内有数の清水を使った酒蔵「李白酒造」

 瓦屋根の母屋が目を引く「李白酒造」は、城下町・松江に明治15年(1882)に創業した歴史ある酒蔵。島根産を中心とした国内産の酒米と自社で掘った井戸水を使って酒造りを行っている。

 代表取締役社長の田中裕一郎さんに敷地内を案内していただくと年季の入った井戸が。島根県の名水百選に選ばれている「石橋の大井戸」と同じ水脈のもので、酒造りに適した水質。自然の恵みが李白酒造のキレのある酒を生み出す。

 長い歴史を持つ李白酒造だが、現状に甘んじず新たなチャレンジをしている。20年ほど前から海外市場を視野に入れており、今では半分以上を輸出。香港、ドイツなどさまざまな地域で楽しまれている。

 「世界的に見ると和食はブームではなくジャンルとして確立されています。料理に合わせるために日本酒の需要は高まっていますね」と田中さん。

 東京農業大学で酒類学を学んだ彼は、徹底的なデータ管理で酒を造るスタイルを確立した。

「感覚に頼らず、誰が造っても高品質の日本酒ができる仕組みを作りました。昔は休日返上で酒造りをするのが当たり前でしたが、今の時代、それだと続けられない。働き方改革のひとつの試みであり、きちんと休みをとってスタッフみんなが心身ともに健康でいられることが大事ですからね」

 健やかな造り手によって生み出された酒は、低温長期発酵させたやさしい味わいの純米吟醸酒や世界で愛されている純米吟醸、料理の格を上げる本みりんなど、魅力的な品揃えに。

李白酒造

所在地 島根県松江市石橋町335
電話番号 0852-26-5555
営業時間 8:30〜17:00
[李白酒造試飲コーナー]
電話番号 090-9733-8539
営業時間 8:30〜18:00(土・日曜、祝日10:00~17:00)
定休日 無休
https://rihaku.co.jp/

島根らしさを詰め込んだ「大根島醸造所」の地ビール

 2020年に販売をスタートした大根島醸造所は地元の素材を使いサステナブルなクラフトビールを造っている。

 大根島の安納芋とハチミツを合わせたり、島根の名菓・どじょう掬いまんじゅうの規格外品を使ったりとアイデア豊か。

 ビール以外にどぶろくも造っており、2022年のどぶろく「研究大会」で優秀賞を受賞した実力。

 黄麴で造っており辛口の日本酒に近いすっきりとした味わい。

 代表の門脇淳平さんは醸造所の隣のコンビニエンスストアも経営しており、そこで商品を販売。どのビールも素材の風味を引き出しバランスよく仕上げてあり、味のよさはもちろんのこと、ラベルの愛らしさもあっておみやげにもぴったり。

大根島醸造所

所在地 島根県松江市八束町江島1128−110
電話番号 050-5217-5505
https://daikonshima-beer.com/

 味わい深い料理や日本酒、そして雅な茶の湯文化に触れることで心が整う島根旅。日本の良さをあらためて知ることできる小旅行に出掛けてみませんか?

← この連載をはじめから読む

2023.03.13(月)
文=CREA編集部
写真=鈴木七絵