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「羽根屋」で味わう風味豊かな出雲そば

 戸隠そば、わんこそばと並ぶ日本三大そばのひとつが出雲そば。江戸時代末期に創業した「献上そば 羽根屋」では島根県産のそば粉を使った出雲そばが楽しめる。風味がしっかりとした二八そばで、メニューは割子という器に入った冷たいそばと釜揚げそばが中心。

 三色割子定食をオーダーすると、3段重ねの割子に入ったそばが運ばれてきた。それぞれにとろろ芋、山菜、天かすがのっており、つゆと薬味を調節しながら自分好みにしていく。コシがあるそばは食べ応えがあり、セットで付いているかやくご飯がまたおいしい。

 店名に「献上そば」とついているのは、大正天皇が東宮の時に出雲市へ行啓された際に羽根屋のそばを喜んで食されたのが所以で、「献上そば」と名付けることが許されたという。

 また、こちらは出雲の伝統を伝える「出雲文化伝承館」の中にあり、美しい庭園を眺めながら贅沢な時間が過ごせる。敷地内には出雲地方の大地主だった江角家の母屋を移築した出雲屋敷などがあり、食後の散策におすすめ。

献上そば 羽根屋 伝承館店

所在地 島根県出雲市浜町520
電話番号 0853-25-0312
営業時間 11:00〜14:30
定休日 月曜
https://kenjosoba-haneya.com/

地下水の栄養分を含んだ「山美世」のうなぎ

 島根県の東部にある中海にぽっかり浮かぶ大根島に、大正3年(1915)に創業した「うなぎ処 山美世」。約20万年前の噴火活動で誕生した大根島の地下には、ミネラル豊富な水が流れており、その地下水にうなぎを3日間ほど泳がせてから調理する。そのひと手間により、臭みがなくなるという。

 創業当時から引き継がれたタレに浸し焼き上げたうなぎは、香ばしくふっくらとしたおいしさ。島根を旅した際には必ずや食べてほしい逸品。

うなぎ処 山美世

所在地 島根県松江市八束町江島1128-10
電話番号 0852-76-3198
営業時間 11:00〜15:00
定休日 無休 ※1月1日〜7日、11月16日ほか、メンテナンスのため休む場合あり
https://yamamise.com/

松江の茶の湯文化を「喫茶きはる」で体験

 松江藩松平家七代藩主・松平治郷公が広めたと言われている茶の湯文化は今でも残っており、作法を気にせずお茶を点てて飲むことが日常的にあるという。その流れで発展したのが和菓子。

 松江城の近く、松江歴史館にある「喫茶きはる」では、工芸和菓子の名工・伊丹二夫さんの創作和菓子を味わうことができる。

 花や動物、風景などを美しく表現したものから、抹茶の贅沢な風味が広がるシンプルなわらび餅まで、約10種類の和菓子が揃っている。

 席からは庭園や松江城を眺めることができ、時間を忘れてゆっくり過ごせる。抹茶を一口、また一口と味わいながら、上生菓子の美と向き合いたい。

喫茶きはる

所在地 島根県松江市殿町279(松江歴史館内)
電話番号 0852-32-1607
営業時間 9:30〜17:00(L.O16:30)
定休日 月曜(祝日の場合は営業し翌日休み)
https://matsu-reki.jp/kiharu/

2023.03.13(月)
文=CREA編集部
写真=鈴木七絵