夏の風物詩は、ぼうぼう燃える山火事なり
夏のシチリアを車で行けば、3日に1度は黒煙あるいは燃え盛る炎を目にすることとあいなる。自然発火の山火事多発で、始終あちこちが燃えているのだ。スペインのアンダルシアも山火事は多いが、印象としてはシチリアのほうが頻発している感じ。で、この山火事にもシチリアンは慣れっこで「あー、また燃えてるね~」てなもの。もっとも大規模火災となれば消防車も発動するし、道路には「山火事を見つけたら連絡してね」標識と緊急電話も備えられているのだが……。「山火事に見せかけて、焼畑してるヤツも中にはいる」ということもあるらしい。
エトナに住むヘーパイストスは炎の神でもあるので、この山火事も彼の神の所業なのかもしれないと思うと、ただの山火事がなんだか間男された男の嗚咽のようにも見えてくる。
ギリシア神話に深く結びついたシチリアは、旅の妄想にふけるに事欠かない島なのだった。
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2013.11.12(火)
text & photographs:Satsuki Osawa