ヴェローナの歴史と魅力

 秋たけなわの好季節、味覚の秋、行楽の秋、芸術の秋、みなさまそれぞれに楽しまれていることでしょう。私も秋の高い青空の下、少し遠出をしてヴェローナにオペラを観に行ってきました。

ヴェローナの町中を流れるアディジェ川に架かるスカリジェッロ橋

 ヴェローナは中世の美しい町並みをそのままに残し、ユネスコの世界遺産にも登録されました。煉瓦造りの中世の町中を緑の川がゆったりと流れる穏やかな情景は、まさに麗しの都と呼ぶにふさわしいのです。

左:人々が憩うブラ広場の公園
右:ヴェッキオ城

 町の歴史は古く先史時代までさかのぼることができます。紀元前3世紀には共和政ローマと同盟都市となり、ローマ文化の影響を受けつつ、大きく発展していきます。その時代に造られた円形闘技場「アレーナ」は、保存状態もよく、夏には野外オペラの劇場として今なお使われています。

 中世で都市特許状を得て、一都市となったヴェローナは、いくつかの有力貴族によって支配されていました。そしてヴェネツィアの配下となり、ルネサンス期には商業の中心として発展。多くの学校ができ、文化的活動も盛んに展開されました。豊かな都市であった当時を思わせる美しい町並みを、今も見て歩くことができる、それがヴェローナの魅力です。

左:煉瓦造りの町並みにあふれる緑が美しい
右:明るくカラフルな色合いの家々が並びかわいらしい雰囲気

 また、ヴェローナのあるヴェネト州は良質なワインの産地であり、毎年4月にはイタリア最大のワインフェスティバルが開催されます。世界中のワインのバイヤーが集まるこのフェスティバルは現代のヴェローナの名物でもあります。

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