実はその思いは、本作刊行のタイミングに2022年秋を選んだ理由でもある。

「ワクチン接種率が一定水準に達し、客観視して小説を書ける状態になったのも大きいですが、何より、第八波到来の恐れがある冬を前に、小説を読んだ人に『まだ終わっていない、でも正しい道を進めば出口は見えている』という危機感と希望を覚えてほしい。コロナ禍を乗り切る最後の一踏ん張りの助けになれたら、小説で命を救うことができるかもしれない。その可能性に、作家として懸けているんです」


ちねんみきと 1978年沖縄県生まれ。2012年『誰がための刃』で作家デビュー。「天久鷹央」シリーズが人気を博し、『仮面病棟』『ムゲンのi』『十字架のカルテ』等著書多数。


(「オール讀物」12月号より)


◆知念実希人さんのインタビューは「本の話」ポッドキャストでもお聴きいただけます

2022.12.13(火)
文=「オール讀物」編集部