この記事の連載
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- 山野辺喜子インタビュー 後篇
やりたいことはライフワークとして積み重ねる
――今、注目している素材はありますか?
素材というわけではないのですが、旅する八百屋「青果ミコト屋」さんと共にプロダクトを企画しています。彼らは畑や農家とのつながりがあるので、そこで出会ったハーブや果実を送ってくれるんです。それをコツコツ蒸留して、精油を保管しています。もう2年くらいになるのですが、溜まったらプロダクトを作ろうねって。
――ライフワークになっているんですね。
そうですね。ライフワークという意味では、他にも木工にチャレンジしています。伐採したばかりの、乾燥させていない生木を使って、スプーンを作ったり椅子を作ったりするんです。まだ全然うまくできないんですが、間伐材を有効に使えば森を守ることにもつながる、ということも木工を通して伝えていきたいです。
そしてここから生まれたのが、カトラリーや木の器などを磨くのに使う、木製食器用のメンテナンスに使うオイルです。亜麻仁油やオリーブオイルなどでもいいのですが、せっかくなら香りがあって、メンテナンスしながら自分も癒されて、いい時間になるようなオイルがあったらいいなと思って、作りました。贈りものにも喜ばれているようです。
――木製のディフューザーも、日本の素材で作られているとか。
だいたい5種類くらい用意しているのですが、すべて天然木を削って作ったものです。ヒノキは伊勢のものを使い、台風で倒れてしまった神社の梛の木を使ったものもあります。あとは榊や山桃などもあります。他にも、山形で大雪被害にあってしまったりんごやラフランスの木を譲っていただいて、今ずっと乾燥させています。そういう木は、切って薪にするくらいしかできないので、農家さんも気落ちしてしまって。でも、新しくディフューザーに生まれ変わったら楽しいなと思っています。
山野辺喜子(やまのべ・よしこ)
セラピスト・フレグランスコーディネーター。自身のアレルギー改善のためアロマセラピーをはじめ、食事療法・体質改善などを学ぶ。ヨーロッパに古くからある”街のハーブ薬局”をイメージした代々木のアトリエで活動するほか、イベントやワークショップなども開催。
https://www.fragrance-yes.com/
Instagram:@fragrance_yes
2022.12.01(木)
文=吉川愛歩
撮影=釜谷洋史