植物療法のセラピスト・山野辺喜子さんによるブランド「fragrance yes」は、セルフケアのためのプロダクト。
自らの足で山に入り、見つけた草木で蒸留を行うこともあるという山野辺さんに、ハーブの取り入れ方のヒントや心身の整え方について教えてもらった。
フレグランスでリセットするコツ
――「fragrance yes」ではセルフケアを大切にしていると思いますが、普段どんなふうにセルフケアを取り入れていますか?
いくつかありますが、根底として、忙しい毎日の中ですべてに意識を向けるのは難しいと思います。わたしも全部丁寧にはできていないです。でも、日々ちょっとずつ何かを変えていくのが大切だと思っています。たとえばお酒を飲むでも、身体に合ったものを選ぶとか、外食のときは野菜中心のものを注文するとか、ささやかでも一回一回の選択をきちんとすることが、身体にいい形で積み重なっていくと思うんです。
――時間が足りない方が多いですもんね。
そうですね。本当は内臓をじっくり温めることができる半身浴をおすすめしたいんですが、その時間がない方には、ハーブティーをおすすめしています。手軽に飲めて、難しくないので、どなたにも取り入れやすいと思います。
――ハーブティーなら簡単にできそうですね。
半身浴もハーブティーも、自律神経を整えるのに適しています。副交感神経を優位にして身体と心をリラックス状態に持っていくと、睡眠の質が上がり、疲れやストレスを軽減できます。
――フレグランスは、日常の中でどんなふうに使っていますか?
「fragrance yes」には、onの香りとoffの香り、それからrefreshという香りがあります。もともとわたしが使っていたものは5種類あったのですが、5種の香りをすべて商品化するのはとても大変で……。自分の救急箱の中からこれはどうしても、と思う3つを選びました。
名前の通り、onはシャキッとしたいときや仕事をがんばりたいとき、offはリラックスしたいときや眠りにつく前に使います。refreshは気分を変えたいとき。
そのほかに「森へ行く日」というものも作りました。これも名前そのままに、ちょっと深呼吸したいな、と思うときに使っていただきたいです。わたしがお話を伺って商品を勧められたらいいんですけど、お店やオンラインで購入していただくときのために、わかりやすいようなネーミングにしています。
わたしは、ついぼんやりしちゃうときにonの香りをまといながら仕事したり、宿泊先でなんとなくお部屋のエネルギーを変えたいな、というときにoffやrefreshの香りを使ったりしています。
――リセットしたいときにもいいんですね。
そうですね。今はスマートフォンでどこにいてもメッセージが届き、頭が常にぐるぐる回転している方が多い時代ですよね。頭が空っぽになる瞬間がなかなかありません。そんな中に、「いい香り!」って思える瞬間があるだけで、十分ストレス軽減につながります。疲れを溜めるに溜めてハイキングに行って癒されよう! ではなく、セルフケアを習慣にしていって、普段からストレスのかからないところにパッとリセットできたら、暮らしがとても楽になると思いますよ。
2022.12.01(木)
文=吉川愛歩
撮影=釜谷洋史