違うからこそ面白い。原作×作画コラボは可能性の宝庫である!
映画やドラマで「監督・演出×脚本」のコラボを楽しむように、原作×作画の作家性のマリアージュを味わえるマンガが増加中です。
各々の個性が2乗された作品が生まれるのが分業制の強み。一般化したのは、大場つぐみ 原作×小畑健 作画の『バクマン。』(集英社)でしょう。
近年はビッグネーム同士の共作も続々と実現。そのひとつが『アイシールド21』の原作者・稲垣理一郎と池上遼一という世代を超えたコンビで送る『トリリオンゲーム』です。
読む前は両者の個性がどう溶け合うのか全く予想できませんでしたが、いざ蓋を開けてみれば稲垣の超・現代口語的なセリフ回しと池上の劇画タッチの描写が、パンチのある世界観を創出。
ハイテンポなのに画面に重厚感があり、伝統×近代性のリノベーション建築的なギャップがクセになります。
赤坂アカ×横槍メンゴによる『【推しの子】』は、芸能界の内情を暴く攻めた作品。アイドルビジネスの裏側や誹謗中傷にさらされる芸能人のメンタルケア問題を赤裸々に描く生々しい物語は、時代の空気感ともマッチしており、読者の間で日夜議論を呼んでいます。
しかしながら本作がドロドロしすぎず軽やかな印象なのは、横槍のゆめかわなキャラクターデザインが効いているから。表情豊かな〝推せる〟キャラが続々登場し、エンタメ性を底上げしています。
違うからこそ面白い。原作×作画コラボは可能性の宝庫なのです。
◆『トリリオンゲーム』
【原作】稲垣理一郎『アイシールド21』(集英社) × 【作画】池上遼一『信長』(小学館)
コミュ力おばけの野心家×天才PCオタクの億万長者への道
対人が苦手なPCオタクのガクは、カリスマ的なアイディアマンのハルに見初められ、起業。ふたりは世界長者番付入りを目指し、ハッカー大会の出場やスポンサー探し等、様々な難題に度胸とハッタリ、努力で挑む。
『トリリオンゲーム』稲垣理一郎 原作/池上遼一 作画
小学館 650~715円 既刊4巻
◆『【推しの子】』
【原作】赤坂アカ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(集英社) × 【作画】横槍メンゴ『クズの本懐』(スクウェア・エニックス)
推しアイドルの子どもに転生! 双子が芸能界に殴り込み
人気アイドルの子どもに生まれ変わった限界オタクのアクアとルビー。だがファンを名乗る男に母を殺され、真犯人への復讐に燃える兄と母の遺志を継いだ妹は芸能界入り。アイドル活動や2.5次元舞台を経験し、のし上がっていく。
『【推しの子】』赤坂アカ 原作/横槍メンゴ 作画
集英社 各693円 既刊8巻
2022.11.21(月)
Text=SYO