この記事の連載
イスタンブールとコーヒーをこよなく愛するデザイナーの「オズレム・トゥナ」
![広い空間を贅沢に使って、小さな食器をディスプレイされている。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/1280wm/img_db893e097111ee32608d5d70f95a8f5b119616.jpg)
![ひとつひとつ手に取って、触って選ぶことができる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/1/1280wm/img_b10b5fcce6ea50a083dda0b5cad238e3105450.jpg)
製品の90パーセントは海外に輸出しているという、イスタンブールでも有数の人気セラミックブランド「オズレム・トゥナ」。2023年には創業20年となる。特に、目や口のイラストをデザインしたコーヒーカップが人気だ。
![デザイナーのオズレム・トゥナさん。コーヒーカップの指輪がかわいい!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/1280wm/img_63b9c0641b4b5d3e216220e028b792a8161286.jpg)
デザイナーのオズレム・トゥナさんは、考古学者の父親と、数学教師の母親をもつ。イスタンブールのマルマラ大学美術学部で陶芸の学士号を取得後、同大学で美術の勉強を続け、グラフィックデザイン学も学んだ。卒業後、いくつかの企業でジュエリーデザイナーとして働き、デザインセンスと技術を磨いた。
![もっとも人気のコーヒーカップのシリーズ。唇のイラストは、コーヒーを飲むときに自分の口のように見えるトリッキーなデザイン。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/1280wm/img_4ace6d9473cf0d9693c9ab638ef9ccd2119265.jpg)
![トルコの伝統的な形の紅茶用グラスも、オズレム・トゥナさんの手にかかると現代風なデザインに。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/4/1280wm/img_64d58b3fce777579e8c9a78a6f85a2c1103802.jpg)
クラフトマンシップにあふれたイスタンブールにこだわり、海外での反響をよそに、イスタンブールで創作活動を続けている。旧市街の美術館でモザイクを見たとき、その目からインスピレーションを受けたことが、彼女のブランドを代表する目や唇のイラストのシリーズにつながっている。
![常に斜めになるという斬新なデザインのお皿。スープには使えない(笑)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/1/1280wm/img_71db7325cce61d7fe142a5bb22f97d5b159230.jpg)
また、コーヒーが大好きで、子供の頃からコーヒー豆を口に入れて香りを楽しんでいた。家族は、トルコでポビュラーなコーヒー占いもできたという。コーヒーカップへの強いこだわりは、この頃から。
2階のアトリエに掲げられた、「人生は短い。不味いコーヒーを飲む時間はない!」というメッセージからは、彼女がいかにコーヒーを愛しているかがうかがえる。そして、書棚には、なんと村上春樹の書籍がズラリと並んでいた!
現在は、食器だけでなく、ジュエリーも手掛けている。何世紀にもわたる職人技が息づくイスタンブールでは、サンプルを依頼するとその日のうちに作ってくれる。貧富、新旧、クリーン&ダーティが交錯するイスタンブールから、様々なインスピレーションを得ているのだという。
![白とブルーのコントラストが爽やかなデザインのシリーズ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/3/1280wm/img_23179244a9ae081cf6df34b1734f8978103077.jpg)
また、彼女は、ものづくりの伝統を広めるためのプロジェクトにも取り組んでいる。グランド・バザールの職人たちの技術の保存と販売ネットワークをサポートしたり、歴史的建造物の無形の文化的価値の保存に取り組んだり。個人のビジネスを越えてイスタンブールのクリエイター達のバックアップをしているのだ。
世界各地のバイヤーが「オズレム・トゥナ」の商品を欲しがるのは、そんな文化と技術の裏打ちがあってこそ。彼女のコーヒーカップで飲むコーヒーは、いつもより美味しく感じるに違いない。
Özlem Tuna(オズレム・トゥナ)
所在地 Tomtom Mh. Boğazkesen Cd. No:63/A Beyoğlu, İstanbul, Türkiye
電話番号 212-527-92-85
https://ozlemtuna.com/
2022.11.12(土)
文・写真=たかせ藍沙