主演を務めた「コンフィデンスマンJP」では華のある存在感を存分に発揮し、映画『すばらしき世界』では、脇役ながらしっかりと爪痕を残す確かな演技を見せる女優・長澤まさみさん。そんな彼女が出演する映画『百花』が、9月9日より公開される。
本作は、映画プロデューサー・脚本家として多数の映画を製作してきた川村元気さんが自身の体験をもとに描いた同名小説が原作で、長澤さんは記憶を失っていく百合子(原田美枝子)と向き合い母との思い出を蘇らせていく葛西泉(菅田将暉)の妻・香織を演じる。
記憶を失っていく母との向き合い方に悩む夫を支える妻を演じた長澤さんに、撮影時のエピソードや映画を通して思ったこと、人との関わりで大切にしていることなどについてうかがった。
自分も香織と同じくらい優しくいよう
――長澤さんが本作のオファーを引き受けられた理由や、心が動いた点を教えてください。
川村さんからお手紙をいただいたことが一番ですね。文面がどうのというよりも、思いのこもったお手紙を頂くという熱意に動かされましたし、そこまで思ってくださっているのであれば「これはもう出るしかないな」と思い、お引き受けしました。
――原作や台本から、香織という女性にどんなインスピレーションを感じて役作りされたのでしょうか。
香織に関しては、原作と台本の印象が少し違っていたんです。なので、撮影に入る前はどこか香織の本心がつかめないところがあったんですが、川村監督から「香織は本当に優しい人だから」と言われて台本を読み直したら、「真っすぐな人だ」と自分の中でもすごく筋が通りました。
――夫である泉役の菅田さんとは、今作が3度目の共演ですね。
菅田さんは自分の意思をしっかり持っている方なので、迷いがないし、本当にはっきりしているんですよね。役のことで悩むことはあったようですが、演じる上での迷いは全く感じませんでした。主役としての自覚がすごくある方なので、今作でも全幅の信頼を寄せて撮影できました。
――現場ではお二人で相談することはありましたか。
本作が川村さんの初監督作品なので「川村さんが撮りたいように撮れるといいよね」といったことは話していました。
私の撮影は数日間で終わったこともあり、現場では、自分も香織と同じくらい優しくいよう、ということだけを考えていました。
2022.09.06(火)
文=根津香菜子
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=スズキミナコ
スタイリスト=上杉美雪(SENSE OF HUMOUR)