「若くて初々しいものが一番美しいとは限らない」

 興行収入51.1億円というビッグヒットを記録した映画『SING/シング』からおよそ5年、パワーアップした最新作『SING/シング:ネクストステージ』が2022年3月18日(金)より全国公開を迎える。

 崖っぷち状態だった劇場を立て直すことに成功し、連日、満席に湧くニュー・ムーン劇場の支配人バスター・ムーンがさらなる高みを目指し、エンターテインメントの聖地レッドショア・シティで公演を行うため、仲間とともに画策する。

 初めてのロマンス、ダンス、地獄のレッスン、ゴージャスでスケールアップしたショーへの挑戦……いくつもの壁を乗り越えようとするキャラクターたちの姿が、パワフルに、ドラマティックに、そして大ヒットナンバー満載で届けられる。

 注目の日本語吹替版では、内村光良、MISIA、大橋卓弥、大地真央ら豪華キャストが続投。パワフルボイスのロック少女・アッシュを演じた長澤まさみも、もちろん名を連ねている。

 本作において、長澤さんは伝説のロックスター・クレイを演じたB'zの稲葉浩志とのデュエットシーンも。ゴージャスな歌唱シーンの多い本作の中でも、ひときわ見せ場となり、感動を呼ぶ胸熱シーンとして注目されている。

 インタビューでは、5年ぶりにアッシュの吹替に臨むにあたっての意気込みや、長澤さん自身が見つめる“ネクストステージ”について、今の思いを聞かせてもらった。

会話の化学変化をイメージしながら

――いよいよ『SING/シング:ネクストステージ』が公開されます。アッシュを再び演じるとなり、どのような心境でしたか?

 「続編があるよ」と何とな~く噂では聞いていたんです。なので、「……いつくるんだろう?」と、ちょっとびくびくしていました(笑)。

――びくびく、ですか?

 忙しいときにあたってしまったら、なかなか準備ができなくなってしまうので「忙しいときにあたりませんように」と祈りながら(笑)。

 私は、何でも準備に時間がかかるので。急に「やってください」と言われても難しいんですよね。大切にやりたいなと思って臨みました。

――実際、アフレコはどのようなスタイルで行ったんですか?

 日本語吹替版の音響監督、三間さんは本当にプロフェッショナルな方で、演出が的確なんです。例えば、自分の気持ちがうまく整っていたとしても、アニメーションでそう聞こえなかったら、その声は違っていることになってしまう。そういうときは、監督が本当に上手に導いてくださいました。

 それに、会話はそこでの化学変化が重要なので、相手のトーンにまったく合っていなかったら成立しないんですよね。指揮を監督にとってもらいながら、言われたことに対してイメージを自分の中で膨らませて、声を作っていく感じでした。

――感情はもちろん、テクニカルな面での繊細さもありますし、本当に難しいお仕事ですね。

 審査もすごく厳しいんですよ。録ったらそれで終わりではなく、「本国(アメリカ)に確認します」となり、オッケーが出るまで1週間ぐらい待たされるんです。本当にドキドキで。いうなれば、「試験の結果待ち」みたいな心境に似ているのかな? いまだに私は録り直しはないので、一応セーフ……みたいです(笑)。

2022.03.17(木)
文=赤山恭子
撮影=杉山拓也