こだわりを持たないようにするのが、こだわり
――長澤さんはやらずに後悔というよりも、チャレンジして成功体験に変えている俳優だと思いますが、そうした気持ちからきていると思いますか?
そうですね。そうやって教えてくれるのは、やっぱり先輩の俳優だったりします。つべこべ言わずにやっている人たちが、私にはかっこよく見えるんです。
あと、私にはあまり年齢で物事を区切る考え方がなくて、「いつでも生まれたてなんじゃないか」と思っていたり。「何歳になったら何かをやっちゃいけない、というルールがあるんですかね?」とも思う。
『SING/シング』も同じですよね。もともと落ちぶれた劇場が再建するというお話で、そう考えると、バスター・ムーンも結構なお兄さんなのかなと、支配人ですし(笑)。それでも、あんなにチャレンジして、今回なんて「エンターテインメントの聖地でショーをやってやる!」という目標を持って挑んでいく。いつでもチャンスが待っているし。
若くて初々しいものが一番美しいとは限らなくて、それが今回のクレイですよね。そうやって、人生を楽しんでいる人のほうが、私には若々しくてキラキラして見えます。
――自分自身が好奇心を持って取り組むために、日頃意識していることやこだわりはありますか?
日頃やることは……地味ですよ(笑)。強いて言えば、こだわりを持たないようにするのが、こだわりですかね。
仕事は現場ごとにルールが違ったりするので、「こうじゃないとダメだ」ということがありすぎると、自分を苦しめてしまうんです。あまり固定概念を持たずフラットでいられるようになりました。
あとは、自分の足らないところと向き合うようにはしています。足りないところは、一番自分がわかっているはずだけど、ある程度年齢を重ねたり、自分なりのキャリアが増えていくと、自分の弱点を見逃しちゃうんです。だって、面倒くさいから。ちゃんと自分に向き合うことを恐れないようにやっていかないと、とは思っています。
一度きりの人生だし、失敗というものはなくて「経験」だと思っています。落ち込んでいる暇はないですよね(笑)。
長澤まさみ(ながさわ・まさみ)
1987年6月3日生まれ。静岡県出身。2000年に映画『クロスファイア』でデビューし、以後映画、ドラマを中心に活躍。2011年に『クレイジーハニー』で初舞台。最近の主な出演作に映画『マスカレード・ナイト』、『コンフィデンスマンJP 英雄編』、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(語り)など。映画『シン・ウルトラマン』が2022年5月13日公開予定。
映画『SING/シング:ネクストステージ』
2022年3月18日(金)全国公開
コアラの支配人バスター・ムーンの奮闘で、見事に再生したニュー・ムーン劇場は連日満席、活気に満ち溢れていた。おなじみの仲間、ロジータ、アッシュ、ジョニー、ミーナ、グンターは地元で大人気。ところがバスターは、さらなる夢と野望を膨らませていた。エンターテインメントの聖地で、自分たちのショーを開催したい! その情熱だけを胸に、コネもツテもないまま、バスターは仲間たちと共に大都会へと向かう。
声の出演:内村光良 MISIA 長澤まさみ 大橋卓弥 齋藤 司 ジェシー アイナ・ジ・エンド akane 坂本真綾 田中真弓 大地真央 稲葉浩志 など
監督・脚本:ガース・ジェニングス
製作:クリス・メレダンドリ ジャネット・ヒーリー
日本語吹替版音楽プロデューサー:蔦谷好位置
日本語歌詞監修:いしわたり淳治
音響監督:三間雅文
配給:東宝東和
©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
公式HP:http://sing-movie.jp/
2022.03.17(木)
文=赤山恭子
撮影=杉山拓也